技適マーク 総務省 電波利用(http://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/monitoring/summary/qa/giteki_mark/)
ほんの数年前に実際にあった話。
僕は子供向けゲームの公式大会に撮影で行っていたのだけど、そこでステージに上がった親子がスタッフとモメていた。スタッフさんに「どうしたの?」と聞いたところ、「製品版でなく、違法コピーしたゲームで参加されてまして……」という理由だった。
しかも、当の親御さんも「違法コピーってなんですか?この子のクラスメイトのお父さんからちゃんといただいたものです!何がダメなんですか!」と、悪びれるとかそういう問題でなく、なにもわかってないといった状態。むしろ、最後は怒鳴り散らして会場を後にしていたほどだ。
どうしてこうなったのか?
理由は簡単で、当時はまだ「ゲームの違法コピーは禁止」「違法コピーはやってはならないこと」といったこと自体が周知されていなかった。そのためゲームやITに疎い親御さんからすると、「学校でみんなやってるのになにが問題なのか?」と憤慨してしまったのだろう。参加規約でも、まさか違法コピーしたゲームで参加する子供がいるとは想像もつかなかったため、規約に「製品版以外の参加はお断り」とは書かれていなかった。そのため説明しても納得させることは難しかったようだ。
そういったトラブルがあり、それ以降は大会参加規約に「製品版以外の参加はお断り」と追記することになった。
コスプレ界隈でも広がる”違法機材”の無意識な使用 以上はゲームの大会の話だったのだが、ここで昨今のコスプレ界隈の話になる。最近、コスプレ撮影ではもはや定番ともなった「ワイヤレスストロボ」での撮影スタイル。多灯で利用している方も多く、カメラマンどころかコスプレイヤーさんでもそうした機材を利用している人が少なくない。
だが、ここでひとつ大きな問題がある。かなり多くの方が、違法な機材を使用している……という点だ。
「ワイヤレスストロボ」を実現するには、「マスター」と「スレーブ」が必要とになる。「マスター」はカメラから「今だ!光れ!」といった信号を発する「発信装置」で、「スレーブ」はその信号を受けてストロボを光らせる「受信装置」。カメラによっては、もともと「マスター」の機能を内蔵している機種もあり、ストロボによっても「スレーブ」機能を内蔵している機種もある。しかし多くの場合、カメラのホットシューに「マスター」装置をセットしたり、「スレーブ」装置をストロボにセットすることで利用可能にしている。
そして問題なのは、その「マスター」装置と「スレーブ」装置に、日本では使用すると違法になる機材を使っている人がかなり多くいるところだ。
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自宅用のWi-Fiターミナルなどにも、当然ながら技適マークは付いている。他にも、スマートフォンやタブレット端末、Bluetooth対応イヤホンなど、電波を発信する多くの機械に付いている。 |
どうして利用すると違法なのか? 日本には「電波法」があり、「不法な電波」を発する機材を利用した場合、違法という意図や知識がなかったとしても違反となる。そうなると1年以下の懲役、または100万円以下の罰金が課せられる。そして万が一、航空機や救急車、消防車などの重要な無線を妨害した場合は、5年以下の懲役または250万円以下の罰金となっている。
意図せずに「不法な電波」を発しないようにと定められたのが「技術基準適合証明」という制度であり、その制度に適合した製品だという証明が「日本電波法技術適合」。適合した製品に必ず記載されているのが「技適マーク」だ。一般に使用する無線機の殆どに特定無線設備の技術基準適合証明等のマークが付いている。総務省・電波利用ホームページ(http://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/monitoring/summary/qa/giteki_mark/)。
ここまでの内容を簡単にまとめると、「日本国内では、技適マークの記載されていない機材を使って電波を発すると違法」ってこと。
では、イベントやスタジオで使われている機材はどうなのか?
国内のカメラメーカーが発売している純正の装置・機材は、もちろん問題はない。また、イメージビジョン社の「Cactus V6」と、ニッシンジャパンの「Air1」も、きちんと技術基準適合認定取得済みとなっており、本体に「技適マーク」が記載されていて、法的には問題ない。そして、それ以外の電波を発する装置、つまり「スレーブ」装置は、ほとんどが違法となっているのが現状だ。
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ニッシンジャパンのワイヤレスストロボ用コマンダー「Air1」は、本体の下に技適マークが。○と〒を組み合わせたようなデザインなのがそれ。多くの場合、目立たないところに記載されている。 |
気になる場合は、すでに手元にある場合、本体を隅々までチェックして「技適マーク」が記載されているならOK。見つからなければ違法機材の可能性が高い。通販サイトなどでチェックする場合、「技術基準適合認定取得済み」などと書かれていればOKだが、一切触れられていなかったり、「国内でのご利用はお止めください」などとだけ書かれている場合はアウトの可能性大だ。
今回お伝えしたいのは、上記を踏まえたうえで、知り合いのカメラマンさんなどに勧められて「なにも知らずに違法な機材を使っている人」がいるのではないか?……というところにある。
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