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※1月1日更新:撮影依頼の空
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ACCURA DIAMATIC YS 105mm F
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ACCURA DIAMATIC YS 105mm F2.5
ローディサイト
2024年02月04日 21:31
交換レンズ
オールドレンズ
激レアレンズ
物凄い写りです…みたことがないボケ描写をします。
熟練のオールドレンズ愛好家でさえも知らない人が大半の、相当なレア玉です。
ACCURA DIAMATIC YS 105mm F2.5
~凛とした結像面とオーバルボケが生み出す激情と混沌~
2022年10月のある日、例によってヤフオクを巡回していたら、
「ACCURA DIAMATIC YS 105mm F2.5」という見たことも聞いたこともないレンズを発見。
ネット上で作例写真を調べたところ、得られた情報は、
・日本製だが、日本国内で流通した形跡がまったくない輸出専用レンズ
・銘板違いで「SPIRATONE AUTO SPIRA-TEL YS 105mm F2.5」と、
「Aetna Rokunar YS 105mm F2.5」が存在する
・外観はピントリングが金属製のものと樹脂製ローレットが巻かれているものと2種類ある
・作例写真と思われる画像はflickrとmflensesであわせて5枚アップされているだけ
https://www.flickr.com/photos/131308082@N02/30327823165
https://www.flickr.com/photos/tags/autospiratelys105mmf25
http://forum.mflenses.com/accura-diamatic-ys-105mm-f2-5-with-t-mount-t81299.html
・国内、海外ともにレンズについて解説したWEBサイトはない
このレンズは1970年代にシグマとサン光機(のちの株式会社ゴトー・サン。1984年経営破綻)で生産されていたYSマウントレンズのなかでも断トツで入手困難なレンズ。
日本国内ではほぼ入手不可能で、ebayで探しても滅多に出てきません。
レンズ清掃の際に光学系を確認したところ、予想通りレンズ構成は4群5枚のエルノスター2型でした。フィルター径52mm、絞り羽根6枚。
最短撮影距離は1.06mとちょっと見ない数値ですが、これは距離表示の3.5ftのところまで絞りリングが回るため。
YSマウントはニコンFマウント用(YS-NI)とM42マウント用(YS-PE)が装着できます。
鏡胴が太い割にはフィルター径が小さく、先端部分がグッと細くなるのが外観面での特徴。
KOMURA 105mmF2.5(写真右)と並べれば鏡胴の違いは一目瞭然。
鏡胴の太さだけをみれば、フィルター径を62mmや67mmにして前玉を大きくすれば絞り開放F2が狙えたはず。F2.5にしたのは設計に余裕をもたせたためなのか?いまとなっては真相を知る由もない…以下作例。
・作例写真 ※絞りの記載がない写真は絞り開放F2.5
*EOS6Dで撮影
絞りF3.2。これを最初に見たときには「なんだコレ!」と驚くしかなかった…
絞りF3.2の状態で手前にピントをあわせたうえで条件が揃うと、画面四隅のボケが弁当箱や楕円形のいわゆるオーバルボケに変形することが発覚。
オーバルボケが出るレンズなんて聞いたことがないぞ!
絞りF3.2。2m付近にピントをあわせて撮影。ボケ描写は激しいのにある種の風情すら感じさせる不思議な描写。ここでも上隅にオーバルボケが発生。
絞りF3.2。4.5m付近にピントをあわせて撮影。背後にグルグルボケが発生していますが、よくみるとボケの形が楕円形。描写自体も全体的にアッサリしています。
上は絞り開放、下は絞りF4で撮影。
手前にピントを合わせての撮り比べ。絞り開放の描写は変にザワついていて落ち着きのない描写ですが、絞りをF4にすればスッキリと整理された描写に。
近接撮影時には玉ボケが強調されてグルグルボケがあまり目立ちません。どうやらバブルボケは出ない模様。
絞り開放時のグルグルボケに関しては近接撮影をすると目立ちにくくなります。赤の発色にはソコソコ深みがある…
絞りF4。キヤノンEOSで撮った場合、PS(ピクチャースタイル)とWBを両方ともオートに設定すると青や緑の発色が強く出る半面、赤やオレンジの発色がイマイチな結果になりやすいので注意。
微妙な陰影や色合いの変化を緻密に描き切っている…階調表現力もあります。
立体感と陰影感を強調するという、ゾナーを思わせる結像面と撮影条件によって多彩に変化する後ボケが描写面におけるこのレンズの特徴。
*EOS6D Mk2で撮影
手前の和傘にピントを合わせての撮影。画面中央の玉ボケはきれいだが後ボケが妖しい…
イルミネーションを使った玉ボケチェック。エルノスター2型でこれだけきれいな玉ボケが撮れるレンズはそう多くはない…画面中央の玉ボケと四隅の激しいグルグルボケという二面性ですら、このレンズのもつ多彩なボケ描写の一部でしかないのか。
JR高山線の蘇原駅で列車の行き違い待ちをしているところを激写した神出鬼没の”ドクター東海”キヤ95。画面右半分の質感を感じさせる凛とした結像面と、画面左半分の混沌とした後ボケ。ただならぬ気配が漂う危うい描写はキヤ95特有のオーラを表現しているのか。
鉄道ファンのみならず、多くのフォトグラファーを魅了してきた門司港駅のホーム。だがこのホームから漂っているはずの旅情感があまり感じられない…
雪の日の翌朝、日が差して枝に積もった雪が落ちた瞬間をとらえたもの。逆光によって生じたフレアーやゴーストと後ボケとの融合が凄い…!この描写が実際のコスプレ撮影やポートレート撮影でも生かされてます。
・入手の経緯
ヤフオクではまず出回らないので入手するにはebayを地道に探すしかなく、世界的にも無名のレンズであるため中古相場は存在しません。
#171624の個体は2022年10月にヤフオクにて個人出品者から9000円(送料含む)即決で購買しました。2015年以降に限ってみてもヤフオクで見つけたのは今回が初めて。出品者によれば、
外観:小さなスレはあるが大きなダメージはない
光学系:小さなチリと多少の拭きキズはあるが、撮影に支障をきたすようなカビやクモリはない
動作:機能系は良好。絞り、ピントともに正常に動作する、とのこと。
YSマウントが付属していなかったものの、幸いにもSIGMATEL YS 135mmF1.8のために部品取りでストックしてあった手持ちのYSマウントがありました。
flickrにアップされた作例写真をみてピンとくるものがあったのと、滅多に出ない激レアレンズであることから即決で購買。3日後に届きました。
動作確認したところ、ピント、絞り機構はとくに問題なし。
フィルター枠に軽微なアタリが見つかりましたが(フィルターの装着に支障はなし)、滅多に手に入らないレアレンズなのでそこはガマン。
自動絞りと手動絞りの切替機構も正常に機能していたため、M42用YSマウントを装着して自動絞りが正常に動作することを確認。
光学系については小さなカビ跡があったためレンズ清掃を実施しました。
#171739の個体は2023年5月にカメラとレンズ2本のセットでebayに出品されていたのをセカイモン経由でアメリカから輸入。商品自体は75ドル(購買時のレートで約13300円)即決で送料手数料を含めると約18200円。YSマウントはミノルタSR用がついていたので手持ちのM42用に交換しています。ebayやセカイモンは利用しない主義ですが、今回ばかりは見過ごすことはできず…
2週間ほどで届き、確認したところ自動絞りと手動絞りの切替機構が機能していない状態でした。
絞り羽根やヘリコイド、光学系に問題はなかったものの、これは予備玉か。
凛とした結像面と多彩に変化する後ボケを併せ持つだけでなく、条件が揃うと画面全体からただならぬ気配を漂わせる写真を吐き出す異様な描写…
風景撮影でも使いましたが、風景撮影ではこのレンズのよさが出にくく、コスプレ撮影やポトレ撮影で使ったときにその凄さがわかるような気がします。
実際にコスプレ撮影やポトレ撮影で使ったところ、逆光気味で撮ったときにしばしば現れるインパクトの強い描写に被写体となったモデルさんやレイヤーさんが驚く場面が何度もありました。
四隅の玉ボケが弁当箱や楕円形に変形するレンズは、このレンズ以外で見たことがありません。
個人的には、エルノスター型の美ボケオールドレンズであるコムラー100mmF1.8やプリモプラン75mmF1.9より凄いレンズだと思ってます(※)。
※コムラー100mmF1.8:日本製。中古相場4万~6万円
プリモプラン75mmF1.9:旧東ドイツ製のオリジナル版は中古相場20万~30万円
オールドレンズ過去ログ(国産)
https://www.cosp.jp/profile_diary.aspx?id=256416&pi=6965036
オールドレンズ過去ログ(外国産)
https://www.cosp.jp/profile_diary.aspx?id=256416&pi=6965037
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