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ネコ=バタートースト (9/2 1:12)
Re:禁煙ではなく休煙,という
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ネコ=バタートースト (7/1 21:38)
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【おそ松さん】後奏曲への前奏曲【第二期24話感想】
ネコ=バタートースト
2018年03月26日 04:29
おそ松さん 第二期24話 感想
 我々は知っている.このスタッフはシリアスが描けるという事を.

 「げんし松さん」の様な短編シリーズを除けば,本話は史上2回目の「つづく」回だ.勿論それは,最終回である次週への橋渡しである.
 同じ位置付けである前期24話と比較すると,本話の特徴がよりはっきりする.まずはそこから始めよう.


・尺
 前期が最終話への準備譚として描いた「手紙」は約10分,つまり1話分の半分の尺が割かれていた.対して今回の「桜」は,1話分全ての長尺があてがわれている.時間を割けば良いというものでも無いが,本話は間延びする事も無く,丁寧な描写と余裕のある「間」を活かした味わい深いエピソードに仕上がっている.

・間と絵
 本話が尺的に余裕のある話である事は述べたが,それは作中随所にある「間」として活かされている.本話のハイライトは後述するおそ松の「語り」のシーンなのだが,それ以外のシーンに於いては必要以上に語らず「絵と間」で読ませる描写になっている.目まぐるしい展開の前期とは対照的に,ワンシーンを噛み締めながら観られる独特の空気感がある.

・「フリ」として
 言うまでも無く「手紙」はシリアスな話だった.6つ子が自立するという展開.だがそれは順風満帆とは言い難い,無理のある旅立ちだった.しかもそれが先述の短い尺の中で矢継早に行われる為,より余裕の無さを感じさせられ我々の心は大いに乱れた.脚本のみならず尺の短さまで計算された演出だった訳で,脱帽と言うより他無い.
 この24話により視聴者の琴線が極限まで張り詰めた所へあの最終話がぶち込まれ,我々はまんまと製作陣のちゃぶ台返しをまともに受けてしまったのである.雰囲気ぶち壊しに聊かの不快感もあった事は否めないが,作品の方向性を鑑みるとこれ以上無い成功だったと言えるだろう.

 対して今回の「桜」だが,実に落ち着いている.6つ子の自立というテーマを同じくしながら,これだけの描き分けが成立している事に驚かされる.
 松造が緊急入院する展開は衝撃的だが,すぐに復調するのでここで感じるモヤモヤは一時的なものである.若し松造の意識が戻らないまま終わっていたら,センセーショナルではあるが話の型が前期に似過ぎていて,この項にここまで文字を割く事も無かっただろう.また松造の「ちょっと真面目な話があるんだが」で週を跨ぎ,「ビールを買ってきてくれないか」でオトせば綺麗にネタが成立するが,勿論この製作陣はそんな安易な手は打たない.
 「手紙」での自立が無理のある痛々しいものであったのに対して,今回の自立は穏やかである.「とにかく家を出る」という自暴自棄な性急さは無い(実家離れを考慮している兄弟は居る様だが).各々が各々のペースで地に足の付いた自立を目指していくさまは微笑ましいものであり,前期の様な悲壮感は漂っていない.ビールの件もそうだが所々に笑いの要素があり,これまた前期の様に緊張の連続を強いられる事が無い.終始安心して観ていられる.ここだけ取り出せば単なる日常回である.

 これらを踏まえて最終話予想をすると,存外苦戦させられるというのが製作陣の狙いの様に思われる.色々と予想を裏切ってくれる本作だが,本話がシリアスに振り切っていない事で却って前期の様なちゃぶ台返しの不条理ギャグオチは予想し難い.大体からして本作のスタッフがこの局面で同じ轍を踏むとは思えない.とはいえ本質がギャグ寄りの作風なのでやはり笑わせに来るか?いや今回はしっとり綺麗に終わるかも知れない.よもや最後の最後に超絶シリアスで深刻な松ロスを大量発生させるのでは?等々.前期の展開を知っているからこそ来週が楽しみになるこの仕掛けは実に良く出来ている.

・おそ松
 本話のシリアス面と最終話への伏線を一手に担うキーパーソンこそがおそ松である.
 今回自立という方向性を切り出したのはおそ松であり,有言実行,自立に向けて行動も起こしている.その気概を感じてか,他の兄弟達もそれぞれに自立へ向けて歩き出す.順風満帆である.そんな中,おそ松は足を止めてしまう.「いいのかな,これで」「しょうがないのか?本当に?」と.
 当ダイアリーではおそ松の弱さ――兄弟への依存について何度か書いてきた.今回もそれが色濃く出た形である.ともすれば兄弟中最も甘えん坊で,寂しがり屋で,脆い.そんな弱さを長男だからと虚勢を張って何とか抑え込んでいる(自意識回の描写がそれを暗示している),そういう強弱併せ持った所が彼の魅力の1つである事は間違い無い.
 沈み込んでいきかねないおそ松の気持ちを掬い上げたのはトト子.何だかんだで絵になる2人,長男とヒロインの面目躍如.近過ぎず遠過ぎずのトト子の態度が彼女と6つ子の立ち位置を如実に表している.良き理解者,良き隣人.幼馴染だからこそ果たせる役割である.
 トト子との会話の中で何かを掴んだおそ松.それが最終回の鍵を握っている.彼の胸中や如何に.

 過去を鑑みれば,最終回のヒントは既に登場している筈である.よしんばそれに気付けたとしても,思いもよらない舵取りをしてくる本作.一体どうなってしまうのか.この1週間は落ち着けそうに無い.

TVアニメ「おそ松さん」公式サイト:http://osomatsusan.com/

・カラ松
 自立に向けて努力する兄弟の中で,彼だけが何をしているのか全く不明である.働いているかすら定かでは無い.前期の頼れる兄貴肌は何処へやら.どうしてこうなった.