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【おそ松さん】おそまつさん
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Re:おそ松さんカフェ大阪リタ
紅苺 (5/6 18:47)
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ネコ=バタートースト (9/2 1:12)
Re:禁煙ではなく休煙,という
平里了● (8/22 2:46)
Re:[※全員必読]
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Re:※バトン  ザビー「オー
ネコ=バタートースト (7/1 21:38)
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【おそ松さん】おそまつさんじゃない【第二期最終話感想】
ネコ=バタートースト
2018年04月01日 06:21
おそ松さん 第二期最終話 感想
総評
 伏線回収・オールスター・熱い展開・「ぽい」最終回

 聊かタイトル詐欺になってしまったが,それはさておき.
 個人的に,前期の最終話は余り気持ちの良い物では無かった.視聴者の期待を裏切るという点では成功したし,「自己責任アニメ」の本懐を遂げたと言っても過言では無かった.シェーWAVEによれば1期終了時点で2期の製作は決定しており,そういう意味でも好き勝手やる余裕と自信があったのだろう.とはいえ視聴者にとっては余りに投げやりである.あの話を最後に2度と「さん」が観られないのかと思うと相当な消化不良感があった.
 対する今期最終話の本話は,原作をオマージュしながら伏線を回収しつつサブキャラの再登場で徐々にテンションを高め,アツいクライマックスを経て歯切れの良いオチで締めるという「良く出来た最終回」だった.気持ちの落とし所が無かった前期に比べると,ずっと後味が良い.勿論寂しさはあるが,何と無く前向きで居られるというか,落ち着いた心持で最終回を迎える事が出来た.


・おら(達)は死んじまっただ
 最終回で死ぬという展開は原作のオマージュと見て間違い無い.原作では死ぬ事がオチだったのに対し,死んでからが本番という本話のつくりから次世代のおそ松を担っているという製作陣の気概が伺える.

・「だって今日で最終回だもの」
 メタ発言は嫌いでは無いが,この台詞は好きになれない.初見の時は「又滅茶苦茶やられるんじゃないか」という不安を煽られたし,2周目以降も何だか腑に落ちない.オチがさらっとしているのが格好良いので,敢えて製作側から「最終回ですよ」と念を押されるのが無粋に思えるのだ.先述の「原作のオチをなぞっている」という事を強調したかったのかも知れないが,そこは解る人にだけ解るようにしておくのが通ではないか.

・黄泉ー!黄泉黄泉ー!
 「三国志さん」より.
 これに限らず,本話では過去話の振り返りネタが随所に散りばめられている.これを総評では「伏線回収」と書いたが,多少語弊はある.まあ語感優先の言葉選びである.ご了承頂きたい.
 ともあれ,この演出により本作を長く観て来たファン程本話は感慨深いエピソードとなる.最終話に相応しいサービスである.

・葬儀参列者
 松造・松代・ダヨーン・ハタ坊・にゃー・キン子・彼女・チビ太・トト子・デカパン・栄太郎親子.
 何気に今期の(ゲスト)ヒロインが総出演.仕事は無いが意外と悼まれる程度の最低限の人望はあったらしい6つ子.にゃーが若干浮き気味だが,「デリバリーコント」の件然り,トト子の同業者としてのよしみだろう.「彼女」に関しては前期の彼女だと今後が非常に心配だが,今期の彼女なら強く乗り越えてくれるに違いない.

・聖澤庄之助
 鏡に映し出された映像に覚えが無い方は是非1期から見直して頂きたい.

・兄弟同士のツッコミ合戦
 最終話にして晴れて全員のツッコミが観られる資料価値の高いシーン.兄弟ローテーションと言えば「バレンタインデー」が思い出されるが,今回は絡んで貰えて良かったなトッティ.

・出棺後の沈黙
 こういうちょっとした間の演出が本当に巧い.ここまで殆どがギャグだったのが,この一瞬のシーンで一気に最終話という現実に引き戻され,寂しさをかき立てられる.

・乳首もぎ
 「祝・就職!!」より.

・殺人野球
 「おそまつさんでした」より.地獄に居ながら,十四松はこの責め苦を楽しんでいる様に見える.伊達に野球マンを名乗っていない.

・ドブス鬼 
 「チビ太の花のいのち」より.ドブス役の斉藤氏はちゃっかりオバサン鬼として出演.

・麻雀
 「麻雀」より.

・全裸モデル
 これは人によってはご褒美だろう……

・卒業文集読み上げ
 トド松の「自分で責任取ってる感じ」の演技はキャスト一同大好物だとか.最後の最後でやってくれました.ファンには堪らないシーン.
 一松作,「マイベストフレンド」が誰を指すのかは実に興味深い.彼がダウナー系になった切欠がここにある可能性があり,その悲鳴からしても本当のトラウマなのかも知れない.

・ケツに1発
 「おたんじょうび会ダジョー」他より.脱糞癖といい一松は何気にケツキャラである.注射は嫌がったがハタの時は嬌声を上げた一松.これはご褒美か?

・極卒一松
 攻め側と入れ替わるネタは「就職しよう」,極卒は「チョロ松と一松」の夢が叶う形になった.意外と世渡り上手.

・あっぴらこっぴらっけー!
 「三国志さん」より.台本通り.

・F6(イケメン6つ子)
 前期11話,16話辺りを観て欲しい.前期DVD・BD第一松に収録の3.5話もお勧めだ.
 そう言えば今期はF6に頼らずにやってきた事に気付かされた.ちゃんとネタも新陳代謝されている.

・チャントシター
 言うまでも無くお馴染みの彼.本編での登場は「ふっかつおそ松くん」,「出動!チャントシター!!」.

・おそ松が言いたかった事
 本話唯一にして今期最大の考察ポイントの1つがこれだろう.一夕の議論に使えそうである.
 私の持論はこうだ.「オレ,会社おこすからお前等社員になれ.」
 フラッシュバックの内容から,「兄弟でわちゃわちゃしていたい」,「自分の事は自分で決める」が理念としてあり,更に「深夜の日松屋③」でのやり取りが下地となってこの結論に至ったのではないかと推察するが,どうだろう.
 しかしおそ松の事,実際台詞の通りだったのかも知れない.

・どうにかして,赤塚先生!
 本話の転換点だが,故人である赤塚先生の方が何とかして欲しいというネタに思える.先生に下手にCVを付けていないのが良い.

・現世からの助っ人
 ここから一気にヒートアップしていくが,その中でもハタ坊の「友達ダジョー」が実に味わい深い.「ともだちがほしいジョー」を観よう.

・はなまるぴっぴはよいこだけ
 言わずもがな初代OP.2期に至ってもこの曲を持ってくる辺り,相当な思い入れがあるのだろう.ここで最高に盛り上がれるのは「さん」を最初から観てきた我々へのご褒美だ.

・あの世の助っ人
 曹操・マイコ松・ミワとクミ・プロデューサー・照英・コーチ松・ドブス・花の精・シャーザー・アンドロイド・実松・石油王・木村出代音・爆食い女王決定戦出場者.
 正に「さん」史を振り返る面々だが,気になる点が2つ.
 まず死んでる前提に違和感のあるキャラの存在.ドブス,花の精,実松,コーチ松辺りは死亡描写があった(曹操は時代的に勿論生きている筈が無い)ので綺麗な伏線回収と言えるが,合コン相手とか照英なんかは死んだ扱いにされてるのは少々強引過ぎやしないか.じゃあ何処で出すんだって話になると見当たらないのでここで出すしか無かったのだろうが.まあこの期に及んでそんな厳密性を求めるのは無粋というものだろう.
 そんな事より気になるのは,本話全体を通して前期からの総集編的演出が見られる事である.只のファンサービスなら良いのだが,どうにも「纏めにかかってる」ように思えてならない.それは即ち,シリーズの終焉を意味するのではないか.そんな気がして,ちょっとモヤモヤしてるのだ.前期に比べると,本話は随分綺麗に出来過ぎている.奇をてらっても綺麗に収めてもやきもきさせられる,何とも罪作りな作品である.

・このまま終わってたまるかー!
 閻魔の前であれだけ罵り合っておきながら,最後の最後は助け合う6つ子.これまで何度も垣間見せてきた兄弟愛がここにある.今にも切れそうな「蜘蛛の糸」を全員で上る事に何の抵抗も見せない事が涙を誘う.
 「このままじゃ終われない」,「一縷の望みにしがみ付いてでも生きる」という姿勢をシリーズに対する製作陣の魂の叫びと考えるのは飛躍のし過ぎだろうか.そうであって欲しいと願う位は許して貰いたい.

 この様に,道中は如何にも最終回という怒涛の展開を見せつつ,オチは「いつもの」感じというのも良かった.来週も何食わぬ顔で放送するんじゃないか.そんな慎ましい幕引きが粋である.
 先例を踏まえると,現時点で第三期の有無は決定されている筈である.私は勿論,第三期があるものと信じて待ち続ける.

TVアニメ「おそ松さん」公式サイト:http://osomatsusan.com/

【おそ松さん】後奏曲への前奏曲【第二期24話感想】
ネコ=バタートースト
2018年03月26日 04:29
おそ松さん 第二期24話 感想
 我々は知っている.このスタッフはシリアスが描けるという事を.

 「げんし松さん」の様な短編シリーズを除けば,本話は史上2回目の「つづく」回だ.勿論それは,最終回である次週への橋渡しである.
 同じ位置付けである前期24話と比較すると,本話の特徴がよりはっきりする.まずはそこから始めよう.


・尺
 前期が最終話への準備譚として描いた「手紙」は約10分,つまり1話分の半分の尺が割かれていた.対して今回の「桜」は,1話分全ての長尺があてがわれている.時間を割けば良いというものでも無いが,本話は間延びする事も無く,丁寧な描写と余裕のある「間」を活かした味わい深いエピソードに仕上がっている.

・間と絵
 本話が尺的に余裕のある話である事は述べたが,それは作中随所にある「間」として活かされている.本話のハイライトは後述するおそ松の「語り」のシーンなのだが,それ以外のシーンに於いては必要以上に語らず「絵と間」で読ませる描写になっている.目まぐるしい展開の前期とは対照的に,ワンシーンを噛み締めながら観られる独特の空気感がある.

・「フリ」として
 言うまでも無く「手紙」はシリアスな話だった.6つ子が自立するという展開.だがそれは順風満帆とは言い難い,無理のある旅立ちだった.しかもそれが先述の短い尺の中で矢継早に行われる為,より余裕の無さを感じさせられ我々の心は大いに乱れた.脚本のみならず尺の短さまで計算された演出だった訳で,脱帽と言うより他無い.
 この24話により視聴者の琴線が極限まで張り詰めた所へあの最終話がぶち込まれ,我々はまんまと製作陣のちゃぶ台返しをまともに受けてしまったのである.雰囲気ぶち壊しに聊かの不快感もあった事は否めないが,作品の方向性を鑑みるとこれ以上無い成功だったと言えるだろう.

 対して今回の「桜」だが,実に落ち着いている.6つ子の自立というテーマを同じくしながら,これだけの描き分けが成立している事に驚かされる.
 松造が緊急入院する展開は衝撃的だが,すぐに復調するのでここで感じるモヤモヤは一時的なものである.若し松造の意識が戻らないまま終わっていたら,センセーショナルではあるが話の型が前期に似過ぎていて,この項にここまで文字を割く事も無かっただろう.また松造の「ちょっと真面目な話があるんだが」で週を跨ぎ,「ビールを買ってきてくれないか」でオトせば綺麗にネタが成立するが,勿論この製作陣はそんな安易な手は打たない.
 「手紙」での自立が無理のある痛々しいものであったのに対して,今回の自立は穏やかである.「とにかく家を出る」という自暴自棄な性急さは無い(実家離れを考慮している兄弟は居る様だが).各々が各々のペースで地に足の付いた自立を目指していくさまは微笑ましいものであり,前期の様な悲壮感は漂っていない.ビールの件もそうだが所々に笑いの要素があり,これまた前期の様に緊張の連続を強いられる事が無い.終始安心して観ていられる.ここだけ取り出せば単なる日常回である.

 これらを踏まえて最終話予想をすると,存外苦戦させられるというのが製作陣の狙いの様に思われる.色々と予想を裏切ってくれる本作だが,本話がシリアスに振り切っていない事で却って前期の様なちゃぶ台返しの不条理ギャグオチは予想し難い.大体からして本作のスタッフがこの局面で同じ轍を踏むとは思えない.とはいえ本質がギャグ寄りの作風なのでやはり笑わせに来るか?いや今回はしっとり綺麗に終わるかも知れない.よもや最後の最後に超絶シリアスで深刻な松ロスを大量発生させるのでは?等々.前期の展開を知っているからこそ来週が楽しみになるこの仕掛けは実に良く出来ている.

・おそ松
 本話のシリアス面と最終話への伏線を一手に担うキーパーソンこそがおそ松である.
 今回自立という方向性を切り出したのはおそ松であり,有言実行,自立に向けて行動も起こしている.その気概を感じてか,他の兄弟達もそれぞれに自立へ向けて歩き出す.順風満帆である.そんな中,おそ松は足を止めてしまう.「いいのかな,これで」「しょうがないのか?本当に?」と.
 当ダイアリーではおそ松の弱さ――兄弟への依存について何度か書いてきた.今回もそれが色濃く出た形である.ともすれば兄弟中最も甘えん坊で,寂しがり屋で,脆い.そんな弱さを長男だからと虚勢を張って何とか抑え込んでいる(自意識回の描写がそれを暗示している),そういう強弱併せ持った所が彼の魅力の1つである事は間違い無い.
 沈み込んでいきかねないおそ松の気持ちを掬い上げたのはトト子.何だかんだで絵になる2人,長男とヒロインの面目躍如.近過ぎず遠過ぎずのトト子の態度が彼女と6つ子の立ち位置を如実に表している.良き理解者,良き隣人.幼馴染だからこそ果たせる役割である.
 トト子との会話の中で何かを掴んだおそ松.それが最終回の鍵を握っている.彼の胸中や如何に.

 過去を鑑みれば,最終回のヒントは既に登場している筈である.よしんばそれに気付けたとしても,思いもよらない舵取りをしてくる本作.一体どうなってしまうのか.この1週間は落ち着けそうに無い.

TVアニメ「おそ松さん」公式サイト:http://osomatsusan.com/

・カラ松
 自立に向けて努力する兄弟の中で,彼だけが何をしているのか全く不明である.働いているかすら定かでは無い.前期の頼れる兄貴肌は何処へやら.どうしてこうなった.

【おそ松さん】よ~く考えよ~【第二期23話感想】
ネコ=バタートースト
2018年03月20日 02:12
おそ松さん 第二期23話 感想
総評
 アタマでミるハナシ

 本話を何も考えずに観てはいけない!
 いやいけないとは言わないが,ただ眺めているだけでは本話の面白さを十分に味わったとは言えないだろう.
 本話のメインコンテンツであるBパートとCパートには,「十四松と概念」の様な「思考の過程で出てくる面白さ」がある.哲学的な作風である.絵的な面白さも芝居の妙もあるが,何より言葉の一つひとつを噛み締める事が本話を楽しむ秘訣だ.その結果何が紡ぎ出されるかは,以下の記述に委ねる.


#深夜の日松屋②
 まさかの第二回.ここに来て新シリーズ開幕.この手の尺稼ぎシリーズのテーマとしては,ナンセンス(げんし松さん,UMA探検隊),キャットファイト(トト子とにゃー)と来て,「日松屋」は「じょし松さん」の様な「リアルな描写」を狙っているのではないか.「じょし松さん」が女性ならではの笑うに笑えないあるあるを扱ったのに対して,「日松屋」はどこかほっこりするあるあるネタとなっている.
 さて,今回のテーマは「帰るタイミングを失ったグダグダまったり感」.あるわ~あるある.ファミレスとかでね.別れるのが苦手な私だから特にあるある.閉店時間のある店ならまだしも24時間だと区切りがつかなくなっちゃいますよね.

#ダヨーンとダヨーン
 まさかの大御所声優が2名ゲスト出演.まあそれは本題では無いのですが,田中氏の声の説得力たるや.絵柄がダヨーンでもこの安定感.流石です.その田中氏の演技で如何にも含蓄のありそうな台詞が紡がれますが,その意味する所は……
 ダヨンいやヨダン.田中氏のキャスティングに全く文句は無いのですが,飛田氏の二役でも観てみたいなあ.

#悩むイヤミさん
 いきなりの首吊り.ゴールデンでは掛けられないショッキングな展開から始まります.
 白一色の背景.何処から垂れ下がっているのか判らないロープ.巨大な動く影.超現実的な演出に釘付けになる事必至.このパートが普段のドタバタ劇とは毛色が違うという事が3秒で伝わります.
 絵的な面白さは無く,突飛な芝居も無い.比較的淡々と交わされる会話の内容を反芻する事に神経が集中されます.8分に渡るやり取りの末,導き出されたものとは.

・作画について
 背景無し,小道具は箱とロープのみといった状況の中,登場人物も比較的ルーズな描き方をされている様に思える.恐らく意図的である.本パートに於いて絵は重要ではない,という主張ではないか.

・構図について
 オブジェクトが少ない分,構図についてはかなり凝っている.台詞に集中する脚本ではあるのだが,動きのあるカット割りで視覚的にも飽きさせない.演出の巧みである.

・楽屋ネタ
 ある意味本パートの「笑い所」がコレ.
 着ぐるみの件とか「社長」の件とか「鈴さん」の件とか.
 着ぐるみはさておき,一応解説しておくとイヤミ役,鈴村氏はおそ松役,櫻井氏の所属事務所の社長という関係から出たネタです.
 「口調の変わったイヤミ」は,「シェーWAVE」を聴いておくと更に笑えると思います.如何にもアドリブな台詞ですが,これまでの流れからして総て台本に書いてある可能性が高そうです.アドリブ「風」の芝居を成立させるには,如何にもな言葉選びと如何にもな演技が必要な訳で,こうした技術の高さに我々は騙されて来たのです.
 私は楽屋ネタ嫌いじゃあないので楽しませて貰いました.

・後2回で最終回
 こちらは笑えない現実の話.気付けばもうそんな時期ですよ.(単純に紙面の話をアニメ化するという形での)原作を持たないアニメにとって,長期的に連続して作り続けていくのは難しいのでしょうか.そう考えるとサザエさんはとんでもない事をやっているのですねェ.まあ勢いが違いますけどね.「さん」は何かにつけてスタッフの魂を感じます.休憩を挟まないと,この勢いとクオリティを保つのは難しいという事なのでしょう.

 そして,本パートで得られたものとは……

#深夜の日松屋③
 メインパート2つがなかなかに頭を使わせる内容だったので,お口直しとしてのスキットだが必要十分にほっこりする濃厚な内容.
 先ずもって酔っ払った口調が可愛い.大の大人が酔って呂律が回らなくなっているさまは見苦しいものだが,6つ子の場合可愛くなってしまうのは演者の力かキャラの力か.
 そしてお互いに褒め合うさまが微笑ましい.喧々諤々する事もある6つ子だが,根っこの部分ではやはり好きなんだなあと.う~ん中睦まじき兄弟愛.


 という訳で,やや小難しい内容のメインパート2つの意義ですが,お察しの通り何もありませんでしたね.
 ダヨーンとダヨーンでは結局何も解りません.最後のダヨーンの台詞が本質を的確に表しています(意味合いは多少違ってきますが).
 悩むイヤミさんでは何一つ解決していません.挙句最後には「諦めよう」の一言でそれまでの議論を総てうっちゃっていきます.
 もうね,大好き.「チャントシター」の折にも触れましたが,「まじめにふまじめ」というか,ご大層な言い回しで散々煽っておいてつまるところ何の意味も無い,という肩透かし.真剣に無意味さを追求するというこの姿勢が大好物です.真剣に,という所が大変重要です.手抜きによる内容の無さは唾棄すべきものです.月とすっぽん.計画的に無意味さを演出するには,それなりの技術が必要です.
 その内容の無さ故,なかなか書く事の少ない今回でしたが,私は喜んでます.本話に何かしらの意味を見出そうとして頭がぐるぐるしてる人はスタッフの思う壺です.やりやがったなァ!

TVアニメ「おそ松さん」公式サイト :http://osomatsusan.com/

【おそ松さん】用法・用量を守って以下略【第二期22話感想】
ネコ=バタートースト
2018年03月11日 06:10
おそ松さん 第二期22話 感想
総評
 長尺を巧く纏めたギャグ回も構成に難あり

 「さん」の様なオムニバス形式のアニメでは,幾つかのスキットを纏めて1週分とするのが定石である(サザエさんやドラえもんが代表的).理由は幾つかあるだろうが,その1つとして「1つのテーマで長時間引っ張るのが難しい」事が挙げられるだろう.文章と一緒で,尺を稼ぐ事自体は簡単である(この日記を見れば明らかですね?).しかしそれは話が間延びして歯切れが悪くなるという懸念に繋がる.僅か10分の放送枠でさえ持て余したアニメがある事からも,話の密度を保ちつつある程度の時間の視聴に耐える作品を作る事が如何に難しいかは推して知るべし.
 そんな中,本話は1話分20分を丸々使って1つのエピソードを描くという「さん」に於いて極めて珍しいケースだ.第1話でも最終話でも無く,ましてや気合の入ったエピソードでもない――と書くといつもやる気が無いという様に聞こえるが,そう言いたい訳では無く「イヤミはひとり風の中」の様な特段の事情があるエピソードでは無いという話.でもひょっとしたらいつぞやの野球回の様にずっと無人島回をやりたいという想いを燻らせてきた人が居るかも知れない――のに,である.なかなかにチャレンジ精神旺盛な回だが,話そのものは長尺に負ける事無く20分楽しめるギャグ回だ.ただ,笑いの峠でパロディに走った事が非常に悔やまれる.
 パロディを全否定する訳では無い.裸の銃もホット・ショットもヤンコビックも大好きである.しかし一応(自己責任アニメを標榜しているものの)ギャグを売りにした作品である以上,ネタがパロディに依存しているさまは余り美しいとは思えない.監督が同じ銀魂は,「さん」に比べて画風がリアル寄りなので漫然としたパロディでもシリアスとギャグの落差で笑えてしまう.聊か卑怯な所である.その点「さん」の画風は元々デフォルメされたギャグ寄りなので,パロディネタを掛けても普段のテンションと余り変わらず,余程出来たものでないと却って寒くなってしまう事すらある.そういう理由から,パロディのみに頼り切ったスキットに対する私の評価は低い.要は使い方を間違えるとオーバードーズを引き起こすという事だ.
 本話のギャグは良く言えば安定感がある,ヒネた言い方をすれば普通である.悪い意味ではない普通なのだが,よりによって一番笑いたい所でパロディに寄り掛かってるので興醒めしてしまった.話そのものは悪くないだけに残念だ.


・ハワイに行こうwithオールスター
 レギュラーキャラが勢揃い.この面子で旅行とか滅茶苦茶楽しそうである.ここまで揃うと両親が居ない事に違和感を覚えるが,今後の展開を踏まえると登場人物のキャパオーバーなのだろう.確かに詰め込み過ぎも収集がつかない.

・左エンジンが破損しました.右エンジンが破損しました.主翼が破損しました.
 「羽取れとるがな!」♪やっ↓さん↑♪
 ――解る人が何人居るだろうか.脚本の松原氏の世代的に,元ネタはこれじゃあなかろうか.同じ世代にコクピットだけで着艦した映画もあった.

・テーマ:無人島
 「しま松」なんてアプリもありますが……

・無人島生活withオールスター(ダヨーン除く)
 ギャグアニメである事を差し置いてもこの面子だと不安感がまるで無い.まずデカパンが居る時点でどうにかなるだろうと思ってしまう――実際には何ともならなかったのだが.
 トト子は唯一の女性だが,これまで本作を観てきたファンにとって正直トト子を女性枠として見ている人は居ないだろう.後にそれが間違いでないと目の当たりにする事になる.

・ナレーター:カラ松
 6つ子がナレーションをする事は意外と珍しく,記憶する限りナレーターとして印象深いのは「麻雀:カラ松」,「戦力外通告2017:チョロ松」位である.
 この2人のナレーションを比較すると,カラ松の場合「説得力のある声」と評されるある種の勢いでもって,力任せにギャグを捻じ込んでいくスタイルに向く様に思える.一方チョロ松は極めて淡々とした「ちゃんとしたナレーション」とそこで繰り広げられる無茶な状況とのギャップで笑いを誘っていくスタイル.どちらも甲乙付け難いが本話はカラ松の自分語りがフリになっているので適任と言えるだろう.
 別の提案として,ゲストナレーターを呼んでナレーションだけガチのドキュメンタリー風にしても,ちぐはぐな面白さがあるのではないか.

・SOS?いえOSOです
 小粒なボケではあるが,フリからボケの絵面も含めてかなり好きなネタ.そして一十四が仲良く遊んでいるシーンはほっこりする.やはりこの組み合わせは色んな意味で相性が良い.

・デカパンに縋り付くトド松
 もー可愛くて可愛くてなのだが直後の展開を見るとトド松に心から信頼される事の難しさを感じてしまう.世渡り上手という事はオモテとウラがあるという事であり,ある意味一松以上に心の壁は厚いのかも知れない.こうなると「ドライモンスター」という二つ名も笑えなくなってくる.彼の冷め切った氷の心を溶かすには並大抵の覚悟では歯が立たないだろう.ファンには辛い道程が待っている.

・イヤミ,歯が抜ける
 前期6話を観た人にとっては天丼となるネタ.こちらも超展開が待っているので未視聴の方は是非.

・火起こしする十四松
 彼が起こせない筈が無いと突っ込んだ人は多いだろう.

・チビ太で火起こし
 んでこのシーンであるが,ギャグアニメである事を差し引いても痛々しい.昭和アニメ宜しく暗転して星がバチコーン!みたいなイメージならマシだったのだが.引く位にはバイオレンスである.

・ブチ抜かれるイヤミ
 引き続きバイオレンスが過ぎやしませんかね.まあヤシの実にどつかれる位の予想はしてたがまさかブチ抜きとは.

・サメだー!
 SPCを呼べ!今すぐにだ!(意味が解らない方は「SPC サメ」で検索して欲しい.「サメ」を検索ワードに入れる事が重要だ.絶対にだ!)
 デカけりゃあ良いってもんじゃあねえぞ.
 デカさに笑いました.

・進化したオールスター
 カラ松は相変わらず格好良い.
 トト子はもののけ姫.
 トド松は相変わらず可愛い.
 一松が何をしてるかは察せるだろうが今期3話を観れば一層楽しめるであろう.先祖返りである.

・トイレットペーパー
 何でそんなに欲しがるのかと思いきや……
 余談だが,まだペーパーの無い時代,ヨーロッパではギシギシの葉を使っていたそうだ.

 ここから問題のシーンである.

・覚醒したイヤミ
 ダルシム.伸びる手足に火を吹きテレポートまでやってのけているので間違い無い.

・覚醒したチビ太
 尻尾出て来た時前の方かと思った.いや監督的に.
 何かになりかけてならないという天丼はちょっと面白かった.んで最終的にフリーザである.特徴的な容姿に指から飛び道具の高速連射,2回の変身を残しているので間違い無い.

・覚醒したトト子
 台詞から間違えようも無くセーラームーン.ただ,ウミウシボンバー!の発声は紛れも無くヤキソバンである.そして歌付き.残念な事にクレジット無し.遠藤氏が歌っているのか,前期から散々お世話になっている五阿弥瑠奈さんか.

・巨大ダヨーン
 大魔神.何と昭和中期のネタである.解らない人も多いのではないだろうか.日本の特撮史に於いて外せない作品だ.ドラマ性も高いので是非観て欲しい.

・松ージョン
 フュージョン.又してもDBネタ.台詞が元ネタを引用しつつウィットに富んでいるので拾う価値はある.必殺技はオトナ向け.

・オチ
 ネタの山場は直前のシーンで終わっているので社交辞令みたいなもんである.それにしてもシングルとダブルってそんなに違うものだろうか.重ねれば同じ様な気もするが……

 以上,パロディが好きな人にとっては堪らないだろうが,食傷気味の人にとっては並以下の評価になりかねない,評価の二分される話だった.
 気付けば最終話まで残す所3週である.今期はどの様な形で引導を渡しもとい幕を引いてくれるのだろうか.最後まで目が離せない.

TVアニメ「おそ松さん」公式サイト :http://osomatsusan.com/

【おそ松さん】ちょっとええ話【第二期21話感想】
ネコ=バタートースト
2018年03月06日 06:12
おそ松さん 第二期21話 感想
総評
 ハートフルコメディの佳作.入野ファンにも見所あり.

 前期であれば「ダヨーン族」,今期では「松造と松代」といった,定期的に現れる「うっかりイイ話」.ギャグを観ていた筈なのに気付いたらホロリとさせられていた.本話はそんな「さん」の十八番のひとつに数えられるだろう.
 勿論「いつもの」不条理劇もあり,強く印象に残る事こそ無いかも知れないが,切って捨てる様な悪い点も見当たらない,佳作と呼ぶに相応しい1話だったのでは無いだろうか.


#深夜の日松屋
 微笑ましいけど実際居たら迷惑以外の何者でも無い.ギャグというより,「居る居るこういう客」っていうリアルさが見所だと思う.

#BANANA
 本パートを何も考えずに観てはいけない!
 観終わってモヤモヤしなかった人は要注意だ.冷静になってもう一度観て欲しい.本パートは不条理の極みである.何と無く丸く収まった風に終わっていくが,整合性の面では問題しか無い.強引とか超展開という言葉すら生温い程滅茶苦茶である.要するにまともに観ると違和感しか残らない話なのだが,勢いに乗せられて何の疑問も抱かなかった貴方はひょっとしたら洗脳され易い性格かも知れない.注意せよ.
 余談だが本来の見所とは別に,解る人には解るアブないネタが散見される.例によって監督による熱い講釈があったに違いない.

・トティ美・おそ美・十四美(以下仮称)・カラ美・チョロ美
 じょし松さんに代わる女子キャラの登場(多分今後見る事は無いだろうけれども).総じて垢抜けない感じが好感度高し(完全に個人の趣向).じょし松さんではチョロ子がギリギリイケる口だったが今回は甲乙付け難い感じである.語れるほどの活躍も台詞も無いが,強いて言うならパッと見はおそ美にグッと来た.
 主役のトティ美だが,入野氏の女形演技に益々磨きが掛かってきたと感じさせられる.

・BANANAテーマソングfeat.入野自由
 どう考えても本パートの見所(というか聴き所)はこれだろう.それ迄の内容がブッ飛ぶ程の破壊力がある.この曲のお陰で画面内で支離滅裂な展開が繰り広げられていても勢いで納得させられてしまうという恐ろしい曲だ.

#ニート矯正施設
 誰も予想だにしていなかった松代回である.これで両親の当番回が揃った訳であるが,ドタバタやって最後にはしっとりというフォーマットは共通している.しかしこれは単なる使い回しでは無い.松造回が男のプライドを扱ったのに対して,本話のテーマは母性.はっきりと描き分けされている.
 これら両親回は際立った特徴こそ無いものの,男として,母としての想いがリアル且つ丁寧に描かれている.どちらも或る程度年齢を重ねた時に脚本の妙が解る,ちょっと大人向けの渋い作風と言えるだろう.
 見所は勿論松代.彼女がクローズアップされた回としては「自立しよう」があるが,これはキーパーソンではあるものの,あくまで話の主導権は6つ子の方にあった.対して本話でははっちゃけた大暴れをするギャグキャラとしての一面を見せる,非常に珍しい松代が観られる.6つ子に対する深い愛情含め,松代を好きになったファンは少なくないだろう.また,6つ子を自分に重ね合わせ,自身の母が脳裏に浮かんだ方も居るだろう.今年の母の日は5.13である.

 今回はいつもに比べて文章量が少なくなったが,冒頭で述べた通り決して観るべきものを欠く訳では無い.むしろネタを詰め込み過ぎず,軸となるテーマに集中して素直に纏まった良回だった.
 そも最近みだりに書き過ぎなんだよなあ……

TVアニメ「おそ松さん」公式サイト :http://osomatsusan.com/

【おそ松さん】王道復古【第二期20話感想】
ネコ=バタートースト
2018年02月27日 02:37
おそ松さん 第二期20話 感想
総評
 ギャグアニメとは斯くあるべし.離れたファンにこそ観て貰いたい.

 本話は今期一番の,いや前期まで含めた「さん」史上に燦然と輝く珠玉のギャグ回だ.
 「さん」を観始めた切欠は人それぞれだろうし,ファンになる理由も様々だろう.その中でも,笑いを求める人々,そして面白くないからと本作から遠ざかっていた人にこそ,本話の視聴をお勧めしたい.本話を観てクスりともしなかったら,余程冷めているか,笑いに厳しい人だろう.しかし大多数の人は本話を観て何かしらの面白さを感じるに違いない,そう思わされる程,本話には笑いが詰まっている.


#アバンタイトル,およびワイプ
 内容の無い尺稼ぎなのだが,フェスはおろかライブビューイングさえ行った事の無い私にとって,そこはかとなく「皆で観ている」感があって嫌いじゃあない.
 ただしワイプ,テメーはダメだ.全く面白く無い.
 まあ昨今の番組にありがちなワイプの無意味さ,邪魔さを皮肉ってるのだろう.
 笑える点があるとすれば,わざわざご丁寧に「ここは笑う所ですよ」と説明している事だろう.知る人ぞ知る芸人テント氏も,「ここ一番おもろい所やからね.」等とトボけて笑いを誘っていた.

#松まん
 如何にも商品化しそう(パンシリーズなら既に存在する.残念ながら食品ではなくパン「風」グッズだが),という感想以外出て来ない,空回ってる感じさえする出だしに「今回はこんな感じか……」と半ば失望しかねないが,只の前哨戦に過ぎなかった.

#アイキャッチ
 第二期のアイキャッチは毎回書き下ろしらしい.今期はアイキャッチ自体少な目だが,ファンなら逃さずチェックしておきたい.

#確定申告
 解った様で,何も解らない話.ギャグ的にはしっとりとした味わい.まだまだジャブといった所.

#カラピノ
 この辺りからエンジンが温まり始める.勢いだけのありがちな展開だが……

#財布
 「あるあるネタ」が好きな人にはたまらないだろうし,そうでない人にとっても櫻井氏の色んな声が楽しめる資料価値の高いスキット.
 おそ松の突出したクズさに弟達からの良心を抉るプレゼントは「キャンペーン発動!」とリンクしている.こちらでは福山氏の熱演が楽しめるので,見逃した方は是非DVDでご覧頂きたい.

#花粉
 このテーマ,笑えない人も笑っちゃおうゼという気概のあるスキット.
 目や鼻を取り外して洗えたらどんなに良いかという人は多い筈.鼻うがいなんてのもあるけどネ.
 これもあるあるネタの1種だが,隠れた見所はやはり声優陣の演技だろう.個性的なくしゃみに絶妙な鼻声.キャラスキーのファンなら何度もリピートしたい.
 ちなみに今回の局部はモザイクである.

#迷路
 内容自体は割とどうでもいい.別段面白くも無い.だが独特の雰囲気に一気に引き込まれた.僅か1分程の映像で上質なホラーを感じさせる演出の妙がある.「さん」はホラーに対してやぶさかではないので,定期的にホラー物を観てみたい.

#あらいぐま十四松
 専用曲も付いてなかなかの凝り様だが,ファンであっても最早安易なパロディでは満足出来無いというのが正直な所だろう.勿論意味等無いので,箸休めとしても物足りないスキット.アイキャッチの文句が「ARAIGUMA」で完全に開き直っている所がちょっと面白い.

#トド松逝く
 ファンが今期のトド松に思っている事を本人が総て代弁してくれる.事実トド松は前期後半から一躍チョロ松とのツッコミ2トップに躍り出,今期では狂言回しの役割も増える等チョロ松からの世代交代を感じさせる活躍をしている上,カラ松ばりのイジられ芸も板につくと芸の幅を大幅に広げている.つまり入野氏の色んな奇?声が聴けてファンは悶絶している次第である.
 そして本スキットでも勿論やってくれる.実に資料価値が高い.

#社会科見学
 ショタ萌えするだけのスキットかと思いきや急転直下のオチに我々は戦慄した.
 と言う程大したモンではないかも知れないが,まさに「落差」がオチの要である.この最も重要な鍵を握るキャラクターを見事に全うしたのは福山氏.至芸.
 こうなると,福山氏以外のヴァージョンも観てみたいと思ったのは私だけでは無いだろう.「さん」のキャストは実力派揃いである為,誰が担当しても個性的な「落差」が生じる筈だ.6つ子のみならず,例えば遠藤氏が演じても,それはもう……な感じになりそうである.
 勿論ちびっ子芝居の可愛さも見所のひとつだ.声優ファンには堪らないだろう.これも全キャスト分聞いてみたい.飛田氏や上田氏の場合,どうなるのだろうか……
 それにしてもこのブラックな笑い.大好きだ.深夜アニメならではのネタである.

#出動!チャントシター!!
 「さん」をギャグアニメとして観た場合,現時点で最上位に位置するのがこのスキットだ.普段はせいぜいほくそ笑む位の私だが,不覚にも声を上げて笑ってしまった.十年に一度あるか無いかである.このカオスっぷりを観て欲しい.これを評さずして何を語れと言うのか.「真剣に『無意味さ』を追求する」というニヒリズムは私の最も好むプロットの1つである.
 何処を見ても最高なのだが,特に発進シークエンス中の6つ子の表情が真顔なのが実に実に,実に良く解っている.ここは無難に行くなら如何にも「やぁってやるぜ!」という気合の表情をしているのにちっとも発進しない,というギャップで笑わせに行く所だが,敢えて無表情にしてシュールな方向に特化した演出に最大の賛辞を贈りたい.この辺りが凡百のギャグアニメとは違う,「自己責任アニメ」を標榜する「さん」の面目躍如と言った所だろう.

#スケルトン
 「コロコロ」を彷彿とさせる,直球で,下品で,勢いだけのギャグ.ファンの幾らかはそれなりの年齢であろう事を鑑みると,ノスタルジーさえ感じる人も居るだろう.
 さて言うまでも無く本スキット第二の見所は櫻井氏の絶叫である.資料価値高し.だがやはり「さん」は一筋縄では終わらなかった.
 まさかこんな形で伏線が回収されるとは誰が予想しただろうか.平凡極まりないあのスキットが此処に来て一気に存在意義を主張し出すという超展開.実際伏線でも何でも無い唐突な乱入に過ぎないのだが,何度でも言おうカオスは私の大好物であると.

#次回予告
 今期のトド松の魅力が総て詰まった20秒.最後まで耳の幸せな25分だった.

TVアニメ「おそ松さん」公式サイト:http://osomatsusan.com/

【おそ松さん】とかくイベントというものは【第二期19話感想】②
ネコ=バタートースト
2018年02月20日 05:56
おそ松さん 第二期19話 感想
#バレンタインデー
 オチの投げやり感が実に残念な本話のメインディッシュ.だが6つ子ファンはそんな事関係無くお腹一杯になるであろうチョコよりも濃厚な十数分.

・ソワソワする6つ子
 学生だった頃を思い出せば確かにこんな感じだったかも.しかしカラ松,ポストを勝手に開けちゃあイカんと思いますぞ.

・今週の局部
 今週はモザイク.

・ソワソワして何してるのかと思ったら
 道行く人にチョコを期待.って貰える訳ねーだるぉー!どんだけ社会経験無いの初対面でチョコ渡された事あんの前からずっと好きでした的な?無くは無いけど学生でも社会人でも無い現状そうなる可能性は超絶低いだるぉー?!
 ハァハァ.受身で当然貰えるもんだと思ってそうな所がダメダメでんなあ.

・チョロ松の真顔でピース
 トド松ばかり強調されてますが,チョロ松も比較的兄弟から距離を置こうとしてる様に思えます.特に常識人アピールの凄まじかった前期を観ると顕著です.その彼が悪ノリしてるっていう貴重なシーン.ハートにズドンと来た方も居るんじゃあなかろうか.

・外出しよう!
 一大決心みたいに言ってますがこれまで見ず知らずの人が突然訪ねてきてチョコをくれるとでも思ってたのか……

・トト子ちゃんに相談だ!
 このシーンでクスっと来た方は是非前期11話「クリスマスおそ松さん」を観て頂きたい.

・マザーに頼ったら……終わりだぜ
 貰って無かったのが意外.大抵の人は人生初のバレンタインはマザーから貰うよね?ん?あれ?

・それぞれのギヴミーチョコ
 おそ松    :通報対象.
 十四松    :通報対象.
 カラ松    :そこまでやれるなら声掛けろ.相変わらず攻めの姿勢でガン待ちスタイル.それがまたカッコ可愛いのが卑怯だ.
 トド松    :「ただの知り合い」だけが多いんだなっていうこのシーンは何気に辛い.あと後でもう一回辛い.
 チョロ松・一松:何気にこの2人が一番正統派だと思う.地方ならともかく東京なら貰えるやろこれ.

・貰えないなら作っちゃえ
 それは解るけどかなり本格的~!いが~い!!
 私もバレンタインホワイトデーは貰う事より作る事の方が好きだったのでこのシーンは凄く親近感があります.それにしても6つ子ポテンシャル高いじゃん.やるやんか.あと可愛い.

・誰が誰に何をあげたのか
 カラ →チョロ:生チョコ.多分リキュールの効いたオトナの味わい.尚「糞ダサい」とはっきり言ってるのでチョロ松事変での台詞はあながち……そう考えるとちょっと怖い.
 一  →十四 :猫型チョコケーキ(多分).猫おにぎりの件にしても,イッチは料理にひと手間掛けるタイプか.やっぱ生活力あるでイッチ.台詞にピー入ってますが何て言ったか多分キでしょうなあ十中八九.でも台詞全体で聴くと「お前が居てくれて楽しい」って意味になるので言葉選びはともかくとても暖かい台詞に思えます.
 おそ →一  :チョコバー.ストレートに酷い事言ってますがおそ兄の言う事だからきっと言葉の裏に「俺よりも幸せになれよ」っていう激励があるんだろうなっていう深読みをしても多分何も考えてないよねこの人は.
 十四 →カラ :チョコトリュフ.意外(失礼).ボールみたいだからか?クリスマス回のプレゼントを見るとただただガサツな感じだったが気持ちがこもってるんだろうなあと勝手に妄想.台詞についてはカラ松を評する場合「馬鹿」という表現よりやはり「サイコパス」という言葉がしっくり来るだろう.まあ表裏が無いって意味での「(単純)馬鹿」ならとても的を射た台詞だ.
 チョロ→おそ :チョコサンドビスケット.だが問題は見る限りビスケットの絵がにゃーちゃん一色という事だ.それで良いのかトト子はどうした.台詞はもう何て言うか,普通に恋人だよコノヤロウ幸せになっちまえよ.
 トド →トド :
         彼が何をしたと言うのか(血涙).
         冒頭空気が読めなかった事を根に持たれているのだろうか.今期のトド松は前期のカラ松とは違ったベクトルで不遇をネタにされているきらいがある.辛い事だがファンならこれをおいしいと思える様精進せなばなるまい.何だかカラ松は打たれ強い印象があるがトド松は線が細いというか酷い目に遭ってる所を笑えない感じがする.下手に社交的な分人間関係で苦労してる(というか若干人間不信になってる所がドライさとして出て来てる)気がするので,大事にされて欲しいというか.
         あーでも実質的な強さはカラ松よりあるかもね.黙ってジム行ってるしな
         あ,モノはカップケーキです.

・オチ
 3段オチ(と私は見ている)だが,3段目(チョコ狩り)は完全なる蛇足だと思います.6つ子一人ひとりの掘り下げがあって濃かったものが,最後の最後で只のドタバタ物にされてしまったというか,トガってたのに平らにされちゃった感があります.
 私なら1段目(チョコ被って高笑いのシーン迄)か2段目(チョコ狩りの直前迄)で止めますね.1段目だとそこはかとなくホラーっぽい余韻が残るし,勢いの良さでは2段目で終わった方が歯切れが良い.ここ迄で十分「さん」らしい幕引きになるのではないでしょうか.

#デリバリーコント
 まさかのトトにゃーコンビに感涙必至.
 個人的にはビジュアル面でトト子の追随を許さなかったにゃーが糞ダッサい鏡のコスプレをした事が見所だと思います.またファンが増えちゃう!
 それにしてもにゃーは完全にキャットファイト要員と化してますね.出番が増えた事を喜ぶべきか何と言うか.

#次回「こぼれ話集2」
 第二期も終盤に差し掛かったここでまさかの.
 今期は実質の小話集を既に2回行っている.細かく刻んだ方が創り易いのだろうか?過去記事の通り今期のこぼれ話は前期のそれに比べると今ひとつハジけてない印象があるので,弥が上にも期待は高まる.備えましょう.

TVアニメ「おそ松さん」公式サイト:http://osomatsusan.com/

【おそ松さん】とかくイベントというものは【第二期19話感想】①
ネコ=バタートースト
2018年02月20日 05:54
おそ松さん 第二期19話 感想
総評
 キャラ愛の深さが評価を分ける,かも知れない.

 クリスマス然り,イベントを取り扱う回というのは弥が上にも注目され,期待されるもの.本話は次回予告の時点でバレンタイン回だと宣言されていましたから,この1週間どんなドラマが繰り広げられるのだろうと妄想に期待を膨らませて来ましたよ.そんな期待の眼差しで本話を観ると,一抹の物足りなさを感じたというのが正直な感想です.
 見所はあります.赤塚テイスト溢れるシニカルな笑いあり.また本命のバレンタインパートでは6つ子の個性が爆発,ファンには堪らないエピソードとなりました.ただ後述しますが話の道中は非常に濃いのに,オチで一気に散漫になるというか,急激に失速し,視聴後の印象が微妙に.
 尺に於いては前期クリスマス回が1話丸々使い切る気合の入ったものであったのに対して本話のバレンタインパートは全体の半分程度なので,「バレンタイン」をもっと観たかった,という感も.
 良くも悪くも本話は「キャラクターを楽しむ」回なので,人物に思い入れのある人程満足度は高い筈.逆にそうでない人には「なんだかなあ」という平凡な回になってしまうかも知れない.


#デカパン大統領
 まさかのデカパン回と言っても過言では無い程良く喋り,動く.最近大人しめの役が続いていたのではっちゃけ振りがより際立って見える.良識人という印象の強いデカパンだが,本話では愛すべき馬鹿なおじさんである.新たな魅力でファンを獲得か?
 同時にトド松回でもある.これまたデカパンに輪を掛けて良く喋る.テンション高くまくし立てツッコむというチョロ松的役割を見事に果たしている.良く喋る,ツッコむ,苦労人というポジションに於いて,トド松はいよいよチョロ松の立ち位置に並んだと言えるだろう.
 SFチックにビームで描かれているが,本パートのテーマは明らかに「核抑止」.攻撃に対する報復がアカいという点まで含めて実にシニカル.この手の皮肉が大好物の私にとって評価の高い1本である.
 余談だが,本パートに近いシチュエーションの話としてフジテレビの伝説的番組「世にも奇妙な物語」より「そのボタンを押すな」を思い出した方はいらっしゃるだろうか.こちらも扱うテーマは違っているが,実に皮肉の効いた素晴らしい作品だった.

#ふくわ術
 箸休めというにも余りにナンセンスで感想に困るパート.

・「今3人同時に喋ってなかった?!」
 自己紹介の時点でチビハタ同時に喋っとるやんけ,と重箱の隅を突くしか無い程内容が無いよう.いっこく堂も2人同時に別の発声は出来ませんよね?ひょっとしたら出来たかも知れない,と思ってしまう程あの方の技は凄い.

・今夜は焼肉
 おいお前等それで良いのか
 チビ太がおでんじゃ無いのはまあ,自身がおでん屋になりましたし自分のおでんを越える物は無いと思ってそうなので良しとして.
 問題はイヤミてめーだよてめーそこは「おフランスのフルコース」って言う所だろ脚本書いたの誰だコラァーまあ「『さん』は『さん』として独自の設定で行くザンス原作のおフランス被れは忘れてチョ」って事かも知れませんがシェーWAVEで「おフ松さん」やってんじゃあねえか原作設定ガッツリ引き継いでんじゃあねえかゴルァ
 ハァ.別に原作至上主義だから言ってるんじゃあなくて,今作に於いてもイヤミのおフランス被れは彼の重要なパーソナリティーだと思うので,それを軽々しく忘れたかの様なこの脚本は結構大きな穴に思えます.大丈夫か酔ってんのか年は明けたぞ.

・石油王
 オラお前等またゲストキャラのカメオ出演だぞ反応しるっていうスタッフの声がはっきり聞こえるので話題にしたくなかったけど負けて書いちゃう.勿論声優は同じ人.

・オチ
 詐欺がバレておしおきされる勧善懲悪という綺麗なフォーマットですが,何分イヤミ達の芸は漫談として十分成立しているので,腹話術コントだと思えば怒る程の事では無い様なと冷静に考えてしまう程内容が無かったよう.石油王もその体でパーティーに呼んだれよ.
 ちなみに3人で「ヤー!」っていうのはリアクション芸のカリスマ,ダチョウ倶楽部のネタ.昔は冠番組も持ってたのヨ.

 今回も存外長くなったのでメインパートの感想は次記事に譲ります.

【おそ松さん】既知の憂鬱【第二期18話感想】
ネコ=バタートースト
2018年02月12日 02:21
おそ松さん イヤミはひとり風の中 感想
 もし貴方がこの時点で「イヤミはひとり風の中」というタイトルに覚えが無いなら,どうかそのまま何の予備知識も持たず本話を観て欲しい.余計な知識は,きっと鑑賞の邪魔をする.何事も「初めて」の時に抱く感情は,その後2度と味わえないものである.それが良いものであれ,悪いものであれ.

総評
 太鼓判は押せない.初見さんの感想が気になる.

 本話は,原作漫画「おそ松くん」の同タイトルを「さん」で再解釈・再構成した言わばリメイクである.また,この原作はチャプリンの映画「街の灯」を翻案したものである.よって間接的にだが「街の灯」へのオマージュとする事も出来るだろう.

 正直,粗は多い.まずもって展開が聊か乱暴である.じっくり掘り下げたい・しっかり説明したい部分があっさりやり過ごされてしまった感がある.尤も,これは尺という物理的限界の為に致し方無い部分がある.極限まで切り詰めたOPを見ても,1秒でも尺を確保したいというスタッフの切実な想いが伝わる.そもそも漫画とアニメで全く同じシーンを描いたとして,漫画は読者のペースで読む事が出来る.つまり「行間」を読む余裕が十分与えられている訳である.一方でアニメは限られた尺の中で物語を完結させねばならない為,次々とシーンを入れ替えねばならないし,視聴者もそれについていくしか無いのである.一種の性急さというか,落ち着きの無さ,余裕の無さを感じるのもやむを得ない.それを思うと,僅か10分であれだけのドラマを展開した「手紙」が如何に出色の出来であったか良く解るというものだ.まあ,尺も含めて0から自由に創り上げられるオリジナル話と違い,既存の話を決められた尺の中に再構築していく過程で,色々と無理が生じてくるのだろう.
 尺と言えば,大金を抱いたイヤミが駅へ駆けるシーンは冗長に感じる.演出的にも泣かせに来ているシーンなのは間違い無いが,私は感情移入が足りないのか少々手持ち無沙汰だった.


・OP
 先述の通り,尺を確保する為に極限まで切り詰めた.それは英断だし潔い.ただ,音と映像を合わせる位はして欲しい.努力は見えても手抜きは手抜きである.

・時代設定
 原作では江戸時代だったが,本話の時代設定は終戦後の昭和である(東京タワーが建設中→完成しているので間違い無い).
 実に思い切った改変であるが,物語のテーマは全くブレる事無く描かれている.この手腕は見事なものである.サムライが出てくると我々日本人にとってもある種SFの様な遠き世界になる所を,現代に近付ける事でより身近な話として描こうとしたのではなかろうか.その試みは成功した様に思われる.

・色の表現について
 私にセンスが無いだけかも知れないが,本話の色演出は私には理解出来無い.
 基本的に映像はモノトーン調であるが,6つ子の服は淡く塗り分けられている.それはまあ解る.
 月が度々黄色く輝くシーンがある.それもまあ解る.白塗りだと昼か夜か一瞬混乱しかねない.
 菊が売っている花の内,イヤミに差し出した2輪だけに色がついている.ちょっと疑問符である.確かにイヤミと菊を結び付けた花であるし,完治した菊は花屋を営んでいる.だが「花」そのものにそこまでの強烈な意味があるだろうか?
 より不可解なのは,大金を手にするも疲労困憊のイヤミがチビ太の叱咤激励を受け,奮起するシーン.イヤミの回想で菊にだけ鮮やかな色がついているが,その理由が全く不明である.それだけイヤミにとって菊が大きな存在だと示すものかも知れないが,それは色の有無によらず十分伝わってくるので,敢えてこの様な演出をする事が小賢しく思えるのだ.
 モノトーンの中に鮮やかな色が登場するというのは大きなインパクトなので,やはりここぞという一点に使いたいものである.私なら,菊の見る世界と連動させるという意味で,イヤミ出所までは完全にモノトーンで統一する.安直な演出だが,下手に奇をてらわない分伝わり易く,それで十分と思うのだ.

・重箱の隅を突くと
 幾らでもケチをつけられる.「50円じゃない事は触ればすぐ判る」とか「身寄りが無いのに菊が小奇麗過ぎる」とか.しかし本話がそういうリアルさを追求する目的でない事は誰の眼にも明らかだ.蕎麦屋でハンバーガーが無いと言っている様なものであり,滑稽である.多少の誇張や無理があっても,「人情物」の本話を楽しみたい.ただ……

・イヤミ逮捕されるも大金は無事菊の手に
 このシーンの無理矢理さは擁護出来無いだろう.ここは原作の方が違和感無い.

・本話は「泣ける」のか
 本話が人情物である以上,視聴者の涙腺をどれだけ緩められるのかは最重要点である.先述のイヤミが駅へ駆けるシーン等,幾つかの「泣き所」があると思うが,私が最も涙腺に来たのは「警官の包囲を解く為に住人が狂言リンチを繰り広げるシーン」である.これまた古風でありきたりな展開だが,解っていてもウルッと来るのが王道の王道たる所以,大好きである.
 裏を返せば,それ以外のシーンでは然程感動が無かったという事でもある.展開の性急さもあるし,あくまでも私の個人的感想だがもう少し芝居にアツさが欲しかった.映画でも舞台でも,およそ役者が演じるものであれば何でも有り得るが,台詞や状況とは全く無関係に,演技そのものに圧倒されて感動するという経験が無いだろうか.私はある.本話の演技は決して冷めているという訳では無いが,私としてはもう1歩,魂から捻り出されて来た様な,圧倒的な説得力の滲み出る芝居を欲したい.本作のキャスト・スタッフなら,十分そこに手が届く筈である.

・本話は「良かった」のか
 私には評価しかねる.何故なら私は本話の原作も,更にその原作も知っている.極論,筋書きも泣き所も全部知っていた訳である.どうしても「新たな感動」,「初見の衝撃」といったものに欠け,力の入った演出も冷めた目で見てしまう面がある.とはいえ,私は「原作至上主義」では無い.本記事の中で幾つか原作漫画と比較した文面もあるが,一概にアニメは駄目だ,という書き方はしなかったつもりだ.それぞれに得手不得手があって評価点も違ってくるのであり,本話で「イヤミは~」に初めて触れたという方も,とても幸せな出会い方をしたと思うのだ.
 だからこそ,自分の記憶を抹消して本話を「初めて」観てみたいと思うし,本話が初見だった方がどの様な想いを抱いたのか非常に興味がある.

・ラストシーン
 イヤミが投獄されてから最後の暗転までのおよそ3分間は,一切台詞が存在しない.赤塚先生も本話のラストシーンは何度も描き直したと述懐しているが,アニメでも相当の神経を使って描写した事は容易に想像出来る.劇伴も実に実に,実に映像とマッチしている.この「怒涛の無声の3分間」を,「何と無く知ってる」状態でしか味わえなかった事が本当に悔やまれる.初見の方がこのラストシーンに何を感じたか,夜通し語り合いたい程である.

 以上の様に,プロットが既知の私には,本話は「努力の跡が見える」といった程度の評価しか出来無い.本当の意味での評価は,やはり「本話で初めて本話に触れた」人が行うべきであろう.
 「さん」に於いて本話は異端である.本話をもって「さん」の代表話とする事は出来無い.しかし本作に対するスタッフの態度が大きく現れたエピソードだったと思う.
 私の見る限り,本話はアニメファンにも,原作ファンにも媚びていない.あるのは原作(及び原作の原作)へのリスペクトと,製作への真摯な想いだ.ウケを度外視して,「これが俺達なりの『イヤミ~(街の灯)』だ!」という表現者としての矜持を感じる.
 過去記事で触れた様に,第二期はシリアスストーリーの比重が軽い.今期も2クールで終了とすると既に折り返しを越えているが,後1話位はガチエピソードを観てみたいものである.

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【おそ松さん】オチてますか,ソレ.【第二期17話感想】②
ネコ=バタートースト
2018年02月06日 04:04
#旅館
 本編設定を離れたエピソード.それは「キャラクター」や「設定」の後ろ盾が無い事を意味し,芝居と脚本,演出が試される真剣勝負だ.
 本話は一部ギャグ調の演出もあるが,基本的にはしっとりとした雰囲気の中進む物語である.
 素人が二次創作を行う時,「さん」であれば何とかして6つ子全員に登場機会を与えないといけない,という観念に囚われがちであるが,本話は必要最小限の登場人物に留め,一松と十四松をきっぱり切り捨てている(その布石として「戒め!」での活躍があるのだろう).
 プロ作品なら当たり前の事かも知れないが,こうした態度からもスタッフが本話を真剣に作り込んだ事が垣間見える.ただ残念ながら本話の脚本は凡庸というか,これといった評価点が無い.それでも駄作と切り捨てられないのは,メインキャスト4人の演技の為す所が大きい.シナリオではなく,芝居に引き込まれるのである.
 「さん」の背景を忘れ,1つの独立した作品として本話を楽しみたい.

・カラ彦
 カラ彦の年齢設定は演じる中村氏より明らかに上であるが,ダンディズム香る初老男性を演じ切っている.
 本話は中村氏の台詞から始まる為,氏の演技が視聴者の物語に対する態度を決めると言っても過言では無い.氏の落ち着いた演技が,本話のしっとりとした雰囲気へ導いてくれる.

・トド美
 冗談抜きで真剣に,6つ子声優から女形の演技に秀でた役者を選ぶとすれば,福山氏と入野氏が2大筆頭となるだろう.本話での入野氏の演技は至芸である.色香の漂うオトナの女性を見事に演じている.男性が女声をアテるという,ともすれば笑いになってしまう状況に於いて,入野氏の演技は物語の世界を全く壊していない.
 比較的シリアスな話の中でこういう事を書くのは興醒めだが事実なので言わせて貰いたい.エロいっすごちそうさまでした.

・チョロ江
 入野氏に比べて女性っぽいかと言われればいつもの神谷氏だが,「チョロ松と一松(3話)」でも見せた「影のある凄み」を感じさせる演技が凄まじい.

・おそま
 1人だけ浮いた様な軽い演技が,後半の展開に鋭く効いてくる.

・食事直後のシーン
 構図と色彩だけで場の空気が変わった事を瞬時に悟らせるこのカットは出色の出来である.此処から急転直下で恐怖に引き摺り込む怒涛の展開が本話のハイライトだろう.良く出来ているだけに,ギャグ的な演出は要らなかったのではないかと思えるのが心残りである.

・オチ
 何ともぼんやりしていて,歯切れが悪いと言う事も出来る.他方,敢えて多くを語らない事で余韻を残し,考察の伸びしろを作ったと考える事も出来る.
 純粋に娯楽を求める視聴者と,深読みの好きな視聴者で評価の分かれる所だろう.


#デリバリーコント
 UMA探検隊であれだけの尺を取ったのにまだ余っている事に驚愕する.余り印象には残らないがそれなりに密度の濃い回だという事だろう.
 カラ松初のデリバリーコントである.いつぞやはまさに始まるといった所で奈落に落とされてしまった為,ファン感涙の瞬間だろう.
 これまでのデリバリーコントはツッコミ不在の垂れ流しばかりだったが,今回はカラ松がキレの良いツッコミをするという非常にメリハリのある,且つ貴重な内容となっている.前期17話を鑑みても,カラ松と十四松は意外にも親和性の高いコンビかも知れない.最初{チビ太とおでん(前期9話)}では全く才能の無かったカラ松が,よりにもよってトリックスター筆頭の十四松に完璧なツッコミを掛けているという成長ぶりには感慨深いものがある.


#次回「イヤミはひとり風の中」
 知る人ぞ知るこのエピソードが遂に「さん」でリメイクされる.
 名エピソードのリメイクは勇気の要る挑戦だが,どの様に調理されるのか実に実に,実に楽しみである.
 「さん」のシリアス(感動)回には幾らかの段階があり,「シリアス(手紙等)」,「ギャグ寄りのシリアス(十四松の恋,エスパーニャンコ等)」,「シリアス寄りのギャグ(十四松とイルカ,栄太郎親子等)」辺りに分類されると考えているが,果たして次週はどのテイストだろうか.
 個人的には,第二期に入ってからまともなシリアス回が未だ存在しない為,真剣に泣かせに来て欲しい所である.期待大.備えましょう.

TVアニメ「おそ松さん」公式サイト :http://osomatsusan.com/

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