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希望?絶望?「LOGAN/ローガン」
うぇいど
2017年06月09日 21:47
アメコミ ウルヴァリン 感想
 突然の夕立や雷雨を見ると、もう梅雨入りか?なんて思ったりしますね。
 うぇいどです。

 さて、2000年から始まったMARVELの映画シリーズ「X-MEN」で、17年に渡って主役のウルヴァリンを演じてきたヒュー・ジャックマンが、今作をもって、ウルヴァリン役から卒業するということもあり、来日イベントや劇中のプロップの展示企画も開催されたりした話題作「LOGAN/ローガン」を観てきましたので、感想を書いてみたいと思います。





■概要
年老いたローガンの物語。


■感想
 ヒュー・ジャックマンの来日や、試写会等で、公開前に鑑賞した人も多く、かつ評判も上々で、「アメコミ映画の常識を突き破る衝撃作だ」といったキャッチコピーで宣伝も多くされており、とにかく期待の高まる映画でした。ついに日本でも正式に公開され、劇場で観てきた感想は…

「なんやねん、この映画…」
です。

 まず、暴力描写が酷すぎます。人を刺したり、刺されたり、痛めつけられたり、首が飛んだりと、これまでのX-MENシリーズとは一線を画すべく作られた映画ということもあり、とにかくスプラッタの嵐ですが、これって必要だったんですかね?暴力描写というのは、映画の「アクセント」であるべきであり、それが中心になってしまったり、それが多いことが大人向けの映画であるかのような扱いになってしまうのはいかがかと思います。暴力描写満載のデッドプールの映画が大ヒットしたのは、暴力描写が多いことだけでなく、しっかりしたストーリーがあったことが大きいと思います。そういう意味では、デッドプールの大ヒットは良くも悪くも影響が大きかったのかもしれません。
 登場人物がモラルに欠ける行動をとったり、理不尽な目にあったりと、どうも気になる点も多いです。ここまでハードな映画だと、ローラ役として出演していたダフネ・キーンは12歳だそうですが、彼女がプロの役者だとは言え、彼女の精神的な成長に影響が無いか心配になってしまいます。
 また、「これまでになかった過酷な展開のある映画にする」というコンセプトは良いのですが、映画としてどんなメッセージを伝えたいのかよく分からないんですよね。映画に込めるべきメッセージとしては、「親切にした人に助けられた」「悪人が改心した」「楽園にたどり着いたり、新たな居場所を見つけた」といったものがあるのが好きなのですが、この映画にはそういったものが少なく、「この人ってただ死んだだけだったの…?」みたいな人が多いです。なんか、「壊れていく人々」みたいな感じがして、結局、映画として何を伝えたかったのかよく分からない、痛々しい映画になってしまっています。
 MARVEL映画が大ヒットしたのは、子供から大人まで楽しめる、スーパーヒーローが登場するからであり、差別される人々の悲しい生き方を描いたX-MENシリーズは受けが悪いような気がします。MCUのキャラクターが中高生を含めて大ヒットしていますが、X-MENの新規ファンって少ないのではないでしょうか。

 しかし、こういった、これまでのアメコミ映画とは異なる要素を含んでいることもあり、非常に悲しく、かつ区切りとなる映画に仕上がっていると思います。
 アメコミは「正義のスーパーヒーロー」を主人公とした作品に限らなくなり、「普通の人とは違う人々」を描いたものも多くなってきています。
「敵と戦う」ということは、相手の命を奪うことであり、そう生やさしいものではないことだと、ハードな映像から伝わってきます。
 MARVEL世界におけるミュータントは、特殊な能力を持ってはいるものの、スーパーヴィランと戦い、世間に認められる存在ではなく、偏見や差別に思い悩みながら生きる存在です。そんなミュータントによるチーム「X-MEN」のメンバーが、「敵を倒すために自爆する」「仲間に看取られながら亡くなる」といった英雄的な最期を迎えられるとは限らず、過酷な人生と惨めな最期を迎えることになるかもしれません。そんなミュータントの人生の結末を、心に残る形で映画化してくれたと思います。

 MARVELおよびアメコミの映画化というものを世界的に有名にしてくれたX-MENシリーズにおいて、17年に渡って主役を演じてくれたパトリック・スチュワートとヒュー・ジャックマンには感謝したいと思います。
 スーパーヒーローとも、スーパーヴィランとも少し違う、数奇な人生を送ってきたミュータントのウルヴァリンは、希望を見つけるのか、絶望的な最期を迎えるのかは、ぜひ自分自身で確かめてほしいと思いました。

 よろしくお願いします。

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