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希望?絶望?「LOGAN/ローガ
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希望?絶望?「LOGAN/ローガン」
うぇいど
2017年06月09日 21:47
アメコミ ウルヴァリン 感想
 突然の夕立や雷雨を見ると、もう梅雨入りか?なんて思ったりしますね。
 うぇいどです。

 さて、2000年から始まったMARVELの映画シリーズ「X-MEN」で、17年に渡って主役のウルヴァリンを演じてきたヒュー・ジャックマンが、今作をもって、ウルヴァリン役から卒業するということもあり、来日イベントや劇中のプロップの展示企画も開催されたりした話題作「LOGAN/ローガン」を観てきましたので、感想を書いてみたいと思います。





■概要
年老いたローガンの物語。


■感想
 ヒュー・ジャックマンの来日や、試写会等で、公開前に鑑賞した人も多く、かつ評判も上々で、「アメコミ映画の常識を突き破る衝撃作だ」といったキャッチコピーで宣伝も多くされており、とにかく期待の高まる映画でした。ついに日本でも正式に公開され、劇場で観てきた感想は…

「なんやねん、この映画…」
です。

 まず、暴力描写が酷すぎます。人を刺したり、刺されたり、痛めつけられたり、首が飛んだりと、これまでのX-MENシリーズとは一線を画すべく作られた映画ということもあり、とにかくスプラッタの嵐ですが、これって必要だったんですかね?暴力描写というのは、映画の「アクセント」であるべきであり、それが中心になってしまったり、それが多いことが大人向けの映画であるかのような扱いになってしまうのはいかがかと思います。暴力描写満載のデッドプールの映画が大ヒットしたのは、暴力描写が多いことだけでなく、しっかりしたストーリーがあったことが大きいと思います。そういう意味では、デッドプールの大ヒットは良くも悪くも影響が大きかったのかもしれません。
 登場人物がモラルに欠ける行動をとったり、理不尽な目にあったりと、どうも気になる点も多いです。ここまでハードな映画だと、ローラ役として出演していたダフネ・キーンは12歳だそうですが、彼女がプロの役者だとは言え、彼女の精神的な成長に影響が無いか心配になってしまいます。
 また、「これまでになかった過酷な展開のある映画にする」というコンセプトは良いのですが、映画としてどんなメッセージを伝えたいのかよく分からないんですよね。映画に込めるべきメッセージとしては、「親切にした人に助けられた」「悪人が改心した」「楽園にたどり着いたり、新たな居場所を見つけた」といったものがあるのが好きなのですが、この映画にはそういったものが少なく、「この人ってただ死んだだけだったの…?」みたいな人が多いです。なんか、「壊れていく人々」みたいな感じがして、結局、映画として何を伝えたかったのかよく分からない、痛々しい映画になってしまっています。
 MARVEL映画が大ヒットしたのは、子供から大人まで楽しめる、スーパーヒーローが登場するからであり、差別される人々の悲しい生き方を描いたX-MENシリーズは受けが悪いような気がします。MCUのキャラクターが中高生を含めて大ヒットしていますが、X-MENの新規ファンって少ないのではないでしょうか。

 しかし、こういった、これまでのアメコミ映画とは異なる要素を含んでいることもあり、非常に悲しく、かつ区切りとなる映画に仕上がっていると思います。
 アメコミは「正義のスーパーヒーロー」を主人公とした作品に限らなくなり、「普通の人とは違う人々」を描いたものも多くなってきています。
「敵と戦う」ということは、相手の命を奪うことであり、そう生やさしいものではないことだと、ハードな映像から伝わってきます。
 MARVEL世界におけるミュータントは、特殊な能力を持ってはいるものの、スーパーヴィランと戦い、世間に認められる存在ではなく、偏見や差別に思い悩みながら生きる存在です。そんなミュータントによるチーム「X-MEN」のメンバーが、「敵を倒すために自爆する」「仲間に看取られながら亡くなる」といった英雄的な最期を迎えられるとは限らず、過酷な人生と惨めな最期を迎えることになるかもしれません。そんなミュータントの人生の結末を、心に残る形で映画化してくれたと思います。

 MARVELおよびアメコミの映画化というものを世界的に有名にしてくれたX-MENシリーズにおいて、17年に渡って主役を演じてくれたパトリック・スチュワートとヒュー・ジャックマンには感謝したいと思います。
 スーパーヒーローとも、スーパーヴィランとも少し違う、数奇な人生を送ってきたミュータントのウルヴァリンは、希望を見つけるのか、絶望的な最期を迎えるのかは、ぜひ自分自身で確かめてほしいと思いました。

 よろしくお願いします。

これでもバットマン?!「レゴバットマン ザ・ムービー」
うぇいど
2017年04月20日 22:48
映画 レゴバットマン 感想
 桜も散って葉桜となってきましたが、季節の変わり目だということなんでしょうね。
 管理人(うぇいど)です。

 さて、2014年に公開された大傑作映画「LEGO ムービー」に登場していたバットマンを主人公としたスピンオフ映画「レゴバットマン ザ・ムービー」が日本でも公開され、バットマンファンから喝采を受けているようです。劇場で観てきたので、感想を書いてみたいと思います。





■概要
LEGOのキャラクターとしてのバットマンを主人公とした物語。


■感想
 最近、洋画の吹き替えに声優の方ではなく、話題性を狙って芸人やタレントを起用することがあります。「話題性が出るし、その芸人のファンが映画に興味を持ってくれて盛り上がる」という肯定的な意見がある一方、「吹き替えを本職としている声優に比べて声や演技の質が劣るし、映画ファンが興ざめしてしまう」といった否定的な意見もあります。そんな昨今の芸人による吹き替えに否定的なムードを無視するかのように、話題作りを狙ってなのか、レゴバットマンは有名芸人を吹き替えに起用してしまいました。そんなレゴバットマンを吹き替えで観てきた感想は…

「小島よしおが吹き替え?!でもそんなの関係ねぇ! そんなの関係ねぇ! 」
です。

 一体、どの層をターゲットにして作ったのかがいまいちよく分からない映画です。バットマンを初めて観るキッズ向けの映画なのかと思えば、バットマンをはじめとするサブカルに詳しい人でないと理解できないパロディやストーリー展開があり、おそらくキッズでは理解できないかと思います。かと言って、バットマンおよびアメコミを古くから知っている人に向けた映画なのかと言えば、既存のバットマンのイメージとかけ離れたキャラクターとして登場するため、なんとなくどっちつかずな気がします。
 また、「大人としてのLEGOとの触れあい方」といった比較的分かりやすいメッセージが伝わってきたLEGOムービーに対し、製作者がこの映画で何を伝えたかったのかがよく分からなかったです。なんか、バットマンというキャラクターを茶化してみただけにもとれます。
 ストーリーも多少詰め込み過ぎな感じがして、観ている途中で「まだ続くの?どこに着地させる気なの?」と思ってしまいます。

 しかし、ハードでシリアスなバットマンというキャラクターを再構築し、ヒーローという概念を考え直してくれた映画です。
 不安材料となっていた小島よしおの吹き替えですが、他の人はどうあれ、僕はさほど違和感を感じず、むしろ持ちネタの披露までよくやってくれた!と思ったぐらいです。
 LEGOとしてのバットマンになったものの、安易にキッズ向けのシンプルな話にすることなく、むしろ古くからのバットマンおよびアメコミファンなら分かる(逆に相当古くからのファンでないと分からない)ネタを大量に詰め込んでくれています。
 そして、この映画は一見すると気づかないのですが、単なる3Dアニメではなく、登場するもの全てがLEGOで作られているかのような映像に仕上がっています。全編に渡って、まるでLEGOのミニフィグがLEGOの街で動いたり戦っているかのように見えてきます。

 そうは言っても、映像にしても、ストーリーにしても、いずれも観ている人の予想していなかったものになっているため、この映画については何を言ってもネタバレとなってしまいます。
 LEGOのバットマンの戦いと、彼の抱えるもの、そして彼を取り巻くキャラクター達の活躍は、ぜひ、劇場で自分自身で確認してほしいと思いました。

 よろしくお願いします。

人類なんて虫ケラ?!「キングコング: 髑髏島の巨神」
うぇいど
2017年04月04日 22:38
映画 キングコング 感想
 2017年度も始まりました。新入生、新社会人、それぞれのスタートがあると思いますが、気持ちを新たに頑張っていきましょう。
 うぇいどです。

 さて、1933年に公開された怪獣映画の古典「キングコング」がまたも映画化されたので、劇場に行って観てきました。感想を書いてみたいと思います。




■概要
1973年、米軍は南太平洋にある謎の島で、巨大生物に遭遇する。


■感想
 33年に公開されたストップ・モーション映画の古典で登場し、60年代に東宝映画でゴジラと戦い、2005年にもリメイクされた「キングコング」ですが、今回は、2014年のリニューアル版USゴジラとの対決も検討中の新作映画として公開されました。なんか面白そうだったので、劇場に行って観てきましたが、感想は…

「こんなデカい生物、いるわけないやろ~」
です。

 とにかく、登場する生物がデカ過ぎます。この手の映画に対して、「あのサイズの生物が存在するとしたら、自重を支えられないし、歩けるはずもない」みたいなツッコミが入れられるのが定番になった現代において、そういう風潮を知ってか知らずか、あり得ないサイズの怪獣が多数登場します。映像としては確かに迫力がありますが、あの生物達はどれだけの量の何を食べてカロリーを摂取しているのか、なぜあれだけ高速な動きができるのかがどうも気になってしまいます。
 そんな怪獣達に向かって人間が発砲するわけですが、いくら何でも撃ち過ぎです。武器どころか食料も不十分な状況のはずなのに、ひたすら撃ちまくってますが、あれだけの銃弾を彼らはどこに持っていたのでしょうか?あんなペースで撃っていたら、すぐに弾切れになってしまうはずです…
 また、登場する人間の考えてることがよく分からないのですが、巨大生物に対してそこまで発砲したりする必要があるのでしょうか?野生動物を下手に刺激したら自分達に攻撃してくるのは予想のつくことであり、自ら巨大生物を駆り立てるような行動をしているのがちょっと理解できません。その他、そういう行動ってするべきなの?という行動をする人が多いです。
 というか、なんで主役がゴリラなんですかね?ゴリラってそこまで凶暴な野獣でもないですよね?巨大なゴリラが大暴れしても恐怖ってあんまり感じない気がするんですよ。33年の映画で作られた「キングコング」というキャラクターに頼っていることが、問題な気がします。怪獣としてのキャラにするのであれば、ゴリラではなく、クマとかライオンをモチーフにした新しい怪獣キャラクターをそろそろ創る必要があるのではないでしょうか。
 ストーリーの話ですが、05年のリメイク版キングコングは、CGによる映像技術はかなりのものでしたが、ストーリーは33年の映画を、良くも悪くも比較的忠実にリメイクしていたため、どこか単調なものがありました。そのため、リニューアルした今回のキングコングは、シナリオに対して少し期待していたのですが、おおまかな内容は「人間が怪獣に襲われる」というだけで、中身はあって無いようなものであり、予算をかけて作った、現代的な映像によるB級映画、という感じです。

 しかし、怪獣映画としてのツボを随所で抑えており、迫力ある映画になっていたと思います。
 あまりにも巨大な怪獣が相手なだけに、米軍のライフルも機関銃も、怪獣の分厚い皮膚に弾き返されてしまうような怪獣に対して、限られた武器しか持たない人間は、ロケットランチャーやミサイルのような有効な武器などなく、そんな絶望的な状況における怪獣との戦いは手に汗握るものがあります。
 ストーリーについても、「この人は最後まで生き残りそう」と思っていた人が死に、「この人は最後で望みを諦めそう」「この人は最後に死にそう」と思っていた人が生き残る等、パニック映画としては意外な展開を見せてくれるのが楽しめます。
 序盤において、キングコングは凶暴な怪獣に見えますが、実は島の守り神であり、人間の味方だったりします。そこが通常の怪獣とキングコングの違いであり、自然を守る知能の高い動物であるゴリラをモチーフにした怪獣ならではの物語を感じます。
 一方で、大自然に棲む巨大生物とその生態系の前には、人間の知恵や技術なんてとうてい太刀打ちできるものではなく、人間の愚かさを感じてしまいます。
 この映画を観ていると、人類のまだ見たことの無い、そして人間なんかが干渉するべきではない、大自然や生物が、今も世界のどこかにいるような気がしてきます。
 普通の映画ならクライマックスシーンになるような、巨大怪獣と人間の必死のバトルが全編に渡って繰り広げられ、日常とは違う体験をさせてくれる映画でした。
 エンドクレジット後には、ゴジラとの対決に関するオマケ映像もあり、最後まで必見ですので、ぜひ、劇場で観てほしい映画だと思いました。

 よろしくお願いします。

魔術師誕生!「ドクター・ストレンジ」
うぇいど
2017年02月26日 21:10
アメコミ ドクター・ストレンジ 感想
 映画公開時のプレミアイベントの開催だけでなく、もはや新作映画公開時のお決まりとなってきたMARVELカフェ、ストアにおけるMARVELコーナーの設置等、最近のMARVEL映画の盛り上がりっぷりは非常に嬉しいですね。
 うぇいどです。

 さて、先月公開されたMCUシリーズの新作映画「ドクター・ストレンジ」を観てきたので、感想を書いてみたいと思います。





■概要
医師であるスティーブン・ストレンジ(ドクター・ストレンジ)は、魔術を学ぶ。


■感想
 ドクター・ストレンジと言えば、アベンジャーズに所属しているわけではないし、スパイダーマン等のようにグッズ展開もあまりなく、知名度の高くないMARVELキャラの一人だったので、映画版については特に思うこともありませんでしたし、どの程度、話題になるかも想像できませんでした。そんなドクター・ストレンジの映画を劇場で観てきましたが、その感想は…

「予想以上に面白かったです!
 そして、この映画は、映像の新次元を開拓してくれました!」
です。

 が、よく分からない点も多い映画でした。
 MCUは不思議な世界で、科学技術と、神秘的な力が同時に存在しており、どういうわけか技術の融合や協力がうまくいっていません。例えば、「アイアンマンがキャプテン・アメリカにアーマーを作ってあげれば、最強になれるだろ」なんてことが言われますが、なぜかそれをやろうとしません。そんなMCUに魔術を使うキャラクターが加わったわけですが、魔法が存在するなら、現代医学で治せない病人をもっとどんどん治せば良いはずなのに、それをしないし、魔法で脅威と戦うことができるなら、魔術師達はロキやウルトロンの襲来時に何をしていたのか?なんて思ってしまいます。
 また、この映画単体の話をすると、2時間の中に色々なものを詰め込んでいるため、様々な事柄が未解決だったり、謎のまま終わってしまいます。結局、あの件はどうなったのか?あの人は正体は何者で、本当の目的は何で、これまで何をしてきたのか?といったことが分からないまま終わってしまいます。
 変なところでシナリオの詰めが甘く、ラスボスの倒し方については「それで良いのかよ?」なんて思ってしまったりしました。

 そんな点が気にはなったものの、全体的には予想以上に面白い映画でした。
 MCUには、実はアベンジャーズとは違う世界で戦っていた存在がいた、という展開は非常にワクワクしますし、銃撃戦や格闘といった、これまでのアクションや映像に、これからは更に魔法のビジュアルが含まれたシーンがMCUで観れると思うと、期待してしまいます。(アベンジャーズがロキやウルトロンと戦っている間、魔術師達は別な脅威から地球を守っていた、悪用を防ぐため、魔術は一般には公開しない技術だった、なんて説明をどこかでしてくれていたらもっと良かったのですけどね!)
 また、主人公の性格も宣伝では「傲慢な医師」と言われていたので、てっきりブラック・ジャック的な「自分の都合で患者への治療を決める」「高額な手術料を請求する」といったキャラクターかと思っていたら、別にそんなことはなく、普通に腕の良い医者で、むしろ好感を感じるぐらいでした。(ひょっとしたら、傲慢な医師としての側面はスピンオフで描いているのかもしれませんが)
 近年の3D映像の進歩には目を見張るものがあります。数年前まで、3Dといっても「なんとなく飛び出てるような気がする」程度だった映像だったのが、最近のMCU映画では、全編を通して、人物や物体が浮き出ているように見えます。それに加えて、この映画では魔術によって空間や物体がグネグネと捻じ曲げられる映像が展開されますが、アメコミ映画が映像の新次元を開拓していく時代が来た、と思うと楽しくなってきます。

 この映画では、医者であるドクター・ストレンジが専門外である魔術を一から学んでいきますが、魔術を学ぶ際、時につけ離されるような状況に送られたりしながらも懸命に魔術を学んでいきます。しかし、魔術師としての頭角を表してきた頃に、圧倒的な力を持つ敵に出会い、苦戦します。ですが、そこで彼が負けてしまっては失われるであろう多くの物を守るべく、戦うのですが、それが社会で仕事を学んでいく姿にどこか似ています。
 仕事をしていると、時に自分の専門外のことや、これまでやったことのない仕事をする必要が生じることがあります。よく理解していない状態で現場に送られることもありますが、仕事として、なんとしても成し遂げなければいけないことだってあります。そうして自分ができるようになってきて、ある程度の自信が持てるようになった頃、自分よりはるかにレベルの高い人に出会い、圧倒されたりもしますが、そうするうちに、なんとしても自分自身がその仕事をしなければいけない、責任ある立場や状況になるかもしれません。
 そうしたことを考えると、この映画は、「友情、努力、勝利」のうちの「努力が8割」という感想を感じました。

 驚く程に日本でも盛り上がりと知名度の拡大を見せるMARVEL映画シリーズですが、それだけでなく、MARVELドラマ、そしてDCの映画とドラマ、更には原作コミックやグッズ、イベントも同時に大盛況となっています。更なる魅力を見せてくれるアメコミを、より多くの人に楽しんでもらえれば幸いだと感じました。

 よろしくお願いします。


 ちなみに、敵の部下についてですが、結局のところ巨悪に騙されてしまい、良い様に使われていた、ということなんでしょうか?「うまい話にはご用心を」ということですかね?

今日も一日がんばるぞい!「NEW GAME!」
うぇいど
2016年10月03日 22:55
アニメ NEW GAME! 感想
 10月に入り、色々あった2016年度前期も終わってしまいました。
 半分過ぎてしまった2016年度ですが、後半もより頑張っていきましょう。
 うぇいどです。

 さて、2016年夏アニメの一つ「NEW GAME!」が全12話の放送を終えたところで、このアニメの感想を書いてみたいと思います。


■概要
高校卒業後、ゲーム会社に就職した涼風青葉の物語。


■感想
 このアニメの原作マンガの一コマである、青葉ちゃんが「今日も一日がんばるぞい!」と言っている画像だけ先行して広まっていますが、とりあえず絵柄が可愛かったのでアニメを観てみました。その感想は…

「僕、こういうの好きです!メッチャ良かったです!」
です。

 とは言うものの、ほのぼの四コマで有名なきららの作品ということも関係するのか、世間的な盛り上がりは今一つのようです。
 結局のところ、前述した「今日も一日がんばるぞい!」という台詞のコマがネタ画像として広まってしまった、「出オチ」の作品であり、内容の方はあまりインパクトが無かったようです。
 そうでなくても、高校進学率が97%を超える現代において、「女子高生」というのは幅広い層が想像しやすく、マンガ作品になっても人気が出やすいのですが、この作品は「高卒でゲーム会社に就職した女の子」というニッチな設定の女の子が主人公のため、どうもピンとこない人が多かったのかもしれません。

 そんな、世間的には評価どころか、「空気」なアニメでしたが、僕は毎週、割と楽しく観ていました。
 OPでは、割と元気で動きのある映像が観れて、テーマ曲だけでも楽しくなれました。
 ゲーム会社という特異な業種ではありますが、そこで青葉ちゃんが体験するのは、初めて会社で仕事をする上での戸惑いや苦労から始まり、小さな仕事に携わり、それが認められ、お給料をいただいたり、飲み会に参加したりと、新社会人なら誰もが経験することです。
 また、ゲーム会社の仕事というのはIT企業の仕事内容にどこか通じるものがあり、コンピュータ等を扱う仕事をしている人であれば、共感できる内容も多いかと思われます。
 和気あいあいと楽しく仕事をしているかと思いきや、残業や休日出勤をしてでも仕事を終わらせなければならない責任やプレッシャーを感じたりと、大変なことも経験しますし、高卒で就職してしまった青葉ちゃんは、大学進学したねねっちとの生活のギャップを感じて寂しくなったりと、ちょっと切なくなることもあります。
 しかし、苦労することだってある社会ですが、会社の中にはサバゲーやコスプレといった自分とは違う趣味を持っている人がいたり、そんな彼女らに支えられて仕事をしていくことで、成長できるのだと思います。

 これから社会人になる人も、既に社会人として働いている人も、ぜひ観てほしい作品だと思いました。
 よろしくお願いします。


■余談
 twitterでRTされてきたツイートに
「NEW GAME!は、忙しさのあまり、自分たちを美少女だと思い込んでしまったゲーム会社のおっさんたちの妄想である」
みたいなのがありましたが、割とマジでそんな気がします笑

あのカメたち再び!「ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影」
うぇいど
2016年09月24日 00:23
アメコミ タートルズ 感想
 ここ最近の雨のせいか、急に気温が下がってきましたね。
 10月に入ると、あっという間に冬の気温となりますから、注意していきましょう。
 うぇいどです。

 さて、90年代に世界的ブームとなり、昨年には再び実写化されたタートルズですが、その実写映画の続編が早くも公開されたので観てきました。感想を書いてみたいと思います。

※原則、ネタバレはありませんが、詳細が気になる方はご遠慮ください。



■概要
タートルズたちは、宿敵だけでなく、新たな敵とも戦うことになる。


■感想
 前作の公開から約1年、あのタートルズの続編が早くも公開されたわけですが、劇場で観てきた感想は…
「世界観が謎過ぎますね…ですが、とりあえずタートルズっぽいとは思います!」
です。

 アメコミ映画「スーサイド・スクワッド」がかなり力を入れた宣伝をしている一方で、同じくアメコミ映画であるにも関わらず、「忘れられてるんじゃないか?」と思うぐらい宣伝活動がなされておらず、あまり話題になっていない映画でした。
 タートルズは元々、84年に「ノロマなカメが、素早く動くニンジャになる」という一種のギャグマンガとして自費出版されたマンガであり、そこからアニメ化、商品化によって世界的ヒットを飛ばし、リブート映画として実写化された昨年の映画も、ネズミとカメが薬品で人間のようになり、ハイテンションで騒ぎながら悪と戦うという、マンガ的で荒唐無稽なストーリーをCG技術で実写化した、というのが一種の売りでした。
 とは言え、90年代のアニメならまだ許せたようなちょっと飛んでるストーリーを、現代の映画として製作してしまうと、かなりキツいものがあります。映画を観ていて、「唐突に出てきたこの人は、なぜこんなことをさも当然かのように話しているのだろう?」「結局、あれは何だったんだ?」と何度も感じてしまいます。(それらの大部分は、結局説明されずに終わってしまいました。)リアル志向が進んでいる最近のアメコミ映画を無視するかのように、「いくらなんでも、それは無理だろう…」という秘密兵器をタートルズが繰り出したり、とんでもない動きを見せたりしてくれますが、その辺りが映画として子どもっぽさを感じさせてしまいます。
 前作に引き続き、シュレッダーを始めとした悪役が登場しますが、カリスマ的な首領と言うより、90年代のアニメに登場するような小悪党感が強く、とても犯罪結社を率いているように見えなかったり、その部下の扱い方には人望を得ているようには感じられないです。
 細かい話になりますが、エイプリルが変装のために服を盗むシーンがありますが、あれは窃盗ではないでしょうか。スパイ映画なら割とお馴染みのシーンですが、子どもも観る以上、あまり常識を外れたことをしないよう気をつけて、素早く服屋で服を買うとか、カバンから着替えを取り出して着替えるとか、そういう方が良かったのではないでしょうか。

 と、言ったことが気になってしまいましたが、全体的にはまるでアニメの世界そのままに実写化されており、楽しく観ることができました。
 映像技術は昨年より上がっているらしく、人間大のカメやネズミが前作以上に様々な場所で戦うアクションシーンは、次々と破壊されたり爆発する物体と共に休む間もなく展開され、映画としての迫力が感じられます。
 カメが忍者化して悪と戦うという斬新なストーリーの前には、犯罪結社がオーバーテクノロジーを用いようと、宇宙人が現れようと、もはや「細かいことは考えたら負け」と言うもの。
 ビーバップとロックステディという、怪物に変えられてしまったのにも関わらず、悲壮感も感じさせない能天気な凸凹コンビも登場し、何でも有りの世界観に浸りながら、映画を楽しむことができます。
 そんなハイテンションなノリが続く映画ですが、途中には、自分たちの存在や周囲からの無理解に悩んだり、意見が分かれたことで生まれた誤解から、仲間割れを起こしてしまうシーンもあり、色々と考えさせてくれます。

 人は皆、それぞれの個性が有り、同じ人は存在しません。それでありながら、集団として生きている上では自分の個性を発揮したいという思いと、周囲と同じでありたいという思いが同時にあります。
周囲と同じように生きたくても、持って生まれた個性や境遇から、それが叶わず、ツラく寂しい思いをしてしまうことがあるかもしれません。
 社会生活を送っていると、受け入れられない人に出会います。人の話を聞かない親、一方的な考え方だけを通そうとする教師、売上げのことばかり考えて、人の気持ちを考えない上司等。人はそういった物を恐れたり、憎しみを抱いたりしてしまいます。しかし、そんな彼らもまた彼らなりの感情や考えを持つ、一人の人間であり、彼らを無闇に否定してしまうのはいかがなものでしょうか。街の平和のために人知れず戦っているのに、ヒーローではなく「自警団」と揶揄され、そもそもが人間ではなく「怪物」と呼ばれるタートルズは、どう考え、どう感じていたでしょうか。
 また、誰かのことを思っての考え方や行動が、必ずしもその誰かが受け入れてくれるとは限りません。その人の今後を考えてあえて言わないでいたことが、その人にとっては「大事なことを自分には隠していたなんて!これは裏切りだ!」と感じてしまうかもしれません。今後の方針に関して、チームの中で意見が対立してしまうこともあるかもしれません。
 そんな時のタートルズの行動は、強行的で将来に関する判断を誤ってしまった愚かなことにも見えます。しかし、彼らの行動もまた一つの解ではあります。

 20年近く前に、米国から輸入されたアニメとして放送され、カメが変形するという謎なオモチャで遊んだ世代の人間としては、親しみやすくもあり、新しい発見も与えてくれる、そんな映画だったと思います。

 MARVELやDCといった大手アメコミ企業に属さない、目立たないながらも、多くの人の心を掴んでくれるタートルズという映画を、もっと多くの人にも観てほしいと思いました。
 よろしくお願いします。

悪党大集合!「スーサイド・スクワッド」
うぇいど
2016年09月19日 22:48
アメコミ スーサイド・スクワッド 感想
 個人的な話になってしまいますが、実は、先週、少々体調を崩してしまいました。趣味や遊びも良いですが、食事、運動、睡眠と、勉学や仕事はバランスよく行うことが大切ですね。
 うぇいどです。

 さて、各方面への広告や、ジャパンプレミア、口コミも相まって、大ヒット中の映画「スーサイド・スクワッド」を観てきました。感想を書いてみたいと思います。

※原則、ネタバレはありませんが、詳細が気になる方はご遠慮ください。


■概要
ヴィランによる特殊部隊、通称「スーサイド・スクワッド」が結成される。


■感想
 映画公開前には、米国でのあまり伸びない評価、日本国内の試写会でのよろしくない評判等、不安材料の多い映画であったため、あまり期待せずに劇場に足を運びました。そして、実際に観てみた感想は…

「予想以上に面白かったです。メッチャ観るべき映画です!」
です。

 一般的な感想を読んでみると、まず登場人物が多すぎるため、分かりにくいようです。この映画には、主なキャラクターだけで10名以上登場し、それぞれを冒頭でさらりと紹介していますが、何も知らない観客にとっては、それが分かりにくさの原因となり、個別の映画を先に公開してから集合映画「アベンジャーズ」を製作したMARVELの映画と比べて、「知っているのが前提」かのような印象を与えてしまうようです。
 また、この映画のコンセプトである「危険な囚人を集めた禁断のチーム」の必要性が、ストーリーからあまり感じられません。予想外の行動をとったり、裏切る可能性ばかり高く、彼らが持つ特殊能力と天秤にかけても、わざわざこのチームを結成するメリットが確かによく分かりません。任務の内容を見ても、彼らに頼らず、重武装の特殊部隊を用意した方が良かったのではないでしょうか。
 そして、ただでさえキャラが多く、詰め込み過ぎな内容に加え、急展開の多い映画となっているため、一般的には「とりあえず、分かりにくかった」という感想が多いようです。
 個人的な感想になりますが、確かに編集があまりよろしくなく、時系列が分かりにくかったりすることもあり、「緊急事態にそんなことをしている場合かよ?!」という印象を感じてしまう部分があります。
 ところで、この映画にはバットマンも登場するのですが、バットマン VS スーパーマン同様、正義のヒーローのはずのバットマンを「少しタガが外れてしまった自警団員」として描いており、それが妙に不気味に感じます。
 更に、細かい話ですが、囚人である彼らを非常に乱雑に扱うシーンがありますが、人権というものを軽視していないでしょうか。僕は「死刑に賛成か、反対か」みたいな難しい議論をしたりはしませんが、刑務所に入っている方々にも人権はあり、人として適正に対応するべきだと思っています。この映画に登場する人は皆、囚人に厳しい当たり方をしていますが、見ていてあまり良い気持ちはしませんでした。(創作である映画に対し、そんなことを言っても仕方がない気もしますが)

 一般的な感想を踏まえ、こういった残念な点もある映画でしたが、僕自身は面白い映画だったと思いますし、DC映画シリーズが盛り返していく兆候が見えたと思っています。
 確かに、冒頭に説明を詰め込むようになってはいますが、主役となるヴィランを簡単に説明するシーンを用意しているため、原作コミックや前作の映画を観ていなければ分からない、ということもなく、初心者にも親切な映画となっています。
 また、「囚人による特殊部隊」を主役にするという設定も、アメコミ映画の流れを変える斬新なものだと思います。これまで、「正義のヒーロー」が主人公だというイメージを持たれてきたアメコミ映画に一石を投じ、なおかつ「なぜ囚人でなければいけないのか」という理由もしっかりと語られています。
 編集において、一部に難があるのは事実です。しかしその辺は、「映画としての構成上、そうなっているだけで、劇中での時間の流れとしては、即座に起こっている」と自分の中で解釈しておけば、あまり気にならないかと思われます。
 そして何より、今回の映画ではジョーカーに一番好感が持てました。僕が映画を評価するポイントの内二つに、「伏線」と「人間味」があります。「いじめられっ子が冒険を経て成長し、最後に敵に立ち向かう」「悪者が正義に目覚める」こういったベタとも言える展開がある映画は名作だと思っています。89年版バットマンや、ダークナイト、原作コミックの「喪われた絆」と、狂気的で残酷な存在としての登場が多いジョーカーですが、本作のジョーカーの行動には非常に「人間味」を感じました。
 僕は、人は誰しも幸福になる権利があると思っています。様々な不幸が重なり、犯罪者、そして囚人に落ちぶれてしまった彼らも、本当は普通の人として生きて、幸福な人生を送りたかったのだと思います。他人の権利や財産を奪ったりした人が、その後の人生で幸福を享受しても良いのか、となるとまた話は変わってしまいますが、ひょっとしたら彼らは育った環境や経験、適切な社会教育を受ける機会の損失から、人生を誤ってしまったのかもしれず、「本来であれば」もっと幸福な生き方をしたかったのかもしれません。

 戦う理由が、正義感や信念からくるわけでもない、敵に対して圧倒的に強い能力を持っているわけでもない、そして彼らを束ねる人物もまた、正義と悪の間にあるような存在である「悪」のチーム、スーサイド・スクワッドの活躍と、彼らの行動は、ぜひ劇場で鑑賞してほしいと思いました。
 よろしくお願いします。


■余談:ハーレイ・クインについて
 色々なメディアで「悪カワヒロイン」のキャッチコピーで宣伝されているハーレイ・クインですが、彼女の犯罪行動を見ていると、彼女は本当に悪人なのか?と感じてしまいました。
 僕が思うに、彼女は犯罪や他人に傷害を与えることにそれほど興味はなく、ジョーカーに洗脳されてしまっている「被害者」なのではないでしょうか。
 誘拐された被害者が、犯人に同情したり好感を持ってしまう「ストックホルム症候群」というのがあるようですが、どこかそれに似たところが彼女にはある気がします。
 原作コミックでのハーレイは、ジョーカーに一途であるにも関わらず、ジョーカーに邪険にされ、それでもジョーカーに恋い焦がれているという、ちょっと意味が分からない性格をしています。そんな原作と異なり、今回の映画ではジョーカーとハーレイがお互いに惹かれあっている、として描かれていましたが、それでもどこか妙な関係ではありました。
 まぁ、マーゴット・ロビーは可愛かったので、オールOKですけどね笑

あの映画がリブート!「ゴーストバスターズ(2016年版)」
うぇいど
2016年08月29日 23:19
映画 ゴーストバスターズ 感想
 てってれてってってーて♪
 てってれてってってーて♪
 てってれてってってーて♪
 ゴーストバスターズ!
 この曲も有名ですね。
 管理人(うぇいど)です。

 さて、世界的大ヒット映画「ゴーストバスターズ」がリブートされ、新たな映画として製作、公開されたということで、劇場で観てきた感想を感想を書いてみたいと思います。

※原則、ネタバレはありませんが、詳細が気になる方はご遠慮ください。




■概要
1984年の映画「ゴーストバスターズ」のリブート作品。
NYにゴーストが現れ、対策が必要になる。


■感想
 あのゴーストバスターズが、主役を女性4人組にして新たに映画化、ということで期待と不安が入り混じった状態で観てきました。その感想は…

「このノリ!このテンポ!このギャグ!
 これぞまさに、ゴーストバスターズです!」
です。

 ゴーストバスターズと言えば、90年代の地上波放送では、89年公開の「ゴーストバスターズ2」がよく放送されていた気がします。84年公開の「ゴーストバスターズ」は、90年代後半から見ても、比較的古い映画で、映像としても時代遅れのものになっていたのか、「2」の方が放送される頻度が高かった気がします。これに加えて、掃除機型のマシンでゴースト退治をする、というアイデアが受けて、パロも多数あり、ゴーストバスターズは馴染みのある映画でした。

 そんなゴーストバスターズが、イメージ一新のために、なんと、主役4人を全て女性に変更して、再び映画化、までは分かりますが、その主役の女性として「お笑い芸人みたいな」4人を起用することが決定した時点で(色々と意図があるのは分かっているにも関わらず)、不安になりました。やはり、映画を観るからには美男・美女の登場に期待してしまうもので、この配役のおかげで、このリブート映画に対する興味が半分無くなったようなものでした。こういうキワどい路線にするのではなく、「チャーリーズ・エンジェル」的な、美女だけで固めた方が良かったのではないか、もしくは、ゴーストバスターズ側の女性がこうであっても、悪役として美女を起用するとかするべきだったのではないか、なんて勝手に思っていました。
 また、実は劇場で実際に観てみるまで、現代を舞台にした、前作の続編だと思っていたので、映画を観ている間も、「そろそろ前作で登場したあの人物が出てくるのでは?…」「あの設定がそろそろ使われるのでは?…」と考えながら観ていましたが、そういったことは全くなく話が進んでいき、それでようやく「あぁ、この映画は続編ではなく、完全なリブート作品なんだ!」と気付きました。
 内容としては、特に申し分なく作られているのですが、逆に言うと、際立った特徴もなく最後まで進んでしまいます。
 コメディ映画としてのギャグが多数登場しますが、90年代の映画的なところがあり、現代の目で見ると「寒い」と思われても仕方ない部分があります。
 こうしたことから、世間一般の評価としては、近年、公開が連続している、「平凡なリブート映画」の一つとなってしまうであろうことが予想されます。

 しかし、ごく個人的な感想を言うと、結構面白かったです。
 90年代の映画ではよくあった、分かりやすく、ちょっと現実的ではないレベルのおバカなギャグが随所に現れ、それらがテンポよく繰り返されるため、観ていて単純に楽しいです。特に、マイティ・ソーで有名なクリス・ヘムズワースが、これまでのイメージを払拭したいのか、かなり違ったキャラを演じていたのが驚きでかつ、ハマり役となっていました。(あまりのイメージの違いに、彼がクリス・へムズワースだと鑑賞後に気付きました笑)
 主役となる4人組も、いわゆる「美女」ではないからこそ(ホルツマン役のケイト・マッキノンは割と良かったですが)、コメディ映画であり、かつアクション映画でもある本作を、盛り上げてくれていたと思います。特に、「もしかして、このタイミングでこんなギャグをやってくれるのでは?…」という期待を裏切らないでくれたのが逆にすごいです笑
 また、一応、前作の設定やキャラは関係のない、「リブート」映画ではありますが、80年版のゴーストバスターズをオマージュするかのように、あのマシンやこのゴーストが登場し、前作が好きだった人こそ楽しめる映画になっていたと思います。
「昔の夢を諦めてしまった経験がある」「世間体が気になり、関係を損ねてしまった人がいる」そんな経験のある人であれば、笑いあり、涙ありのこの映画から、きっと何かを感じるはずです。
 今後の続編の製作やシリーズ化はなんとも言えないところですが、少なくとも僕は観て良かったと思いますので、もし興味を持たれたら、劇場で鑑賞してほしい作品だと思いました。

 よろしくお願いします。

破滅の到来…「X-MEN:アポカリプス」
うぇいど
2016年08月20日 23:28
アメコミ X-MEN 感想
 楽しかった夏コミですが、楽しみ過ぎて体調を崩してしまう人もいるようですね。
 何事も節度を守ることが大切です。
 うぇいどです。

 さて、大人気アメコミ映画「X-MEN」シリーズの最新作、アポカリプス編を劇場で観てきましたので、感想を書いてみたいと思います。

※原則、ネタバレはありませんが、詳細が気になる方はご遠慮ください。


■概要
映画「X-MEN」シリーズの通算9作目。
(スピンオフの3作を含む)
最強の敵「アポカリプス」が登場する。


■感想
 00年に第一作目「X-MEN」が公開されて早16年。最強の敵が登場する最新作ということで、劇場に足を運んで観てきました。その感想は…

「144分は長いですね…
 でも、濃厚な144分だったと思いますよ。」
です。

 事前に公開された予告編から想像し、僕がこの映画に期待していた内容は、善悪では割り切れない思想と最強の能力を持つアポカリプスと、彼に操られた仲間に対抗するべく、まだ経験の浅いメンバーが「X-MEN」を結成し、戦いを挑む、というものでした。

 しかし、この映画を実際に観てみると、まず、ストーリーがなかなか進まないことが気になります。ディズニーのMCUシリーズを観ると、いずれの映画も背景説明からアクション、結末までの流れが綺麗にまとまっていることに気づきます。MARVEL映画に限らず、ディズニー映画は洗練されたシナリオを作成するための仕組みが整備されているらしく、まさに子どもから大人まで楽しめる映画を製作するため、伏線の貼り方や盛り上げ方を見事に組み込み、ほとんどの映画がハズレ無く作られています。それに対する20世紀FOXの映画製作体系は不明ですが、ディズニー映画に比べるとどうしても間延びしてしまったり、回りくどかったりと、盛り上がるタイミングを外して、煮え切らない結末となってしまう映画が多い印象があります。X-MENのいずれの映画もそういった面を感じてしまいますが、どうしてもアポカリプス編もまたそんな印象を感じてしまいます。
 そもそも、シリーズ化を初めから見越していたMCUシリーズに対し、X-MENの映画シリーズは行き当たりばったりで前作の設定等がよく忘れられてしまいます。これは、00年代、CG技術がまだ未発達で、「アメコミ映画」というジャンルがまだ確立されていなかった頃に、X-MENという映画が、手探りで「アメコミ映画」を作り上げたことに由来しています。このX-MENの大ヒットと、その続編が無ければ、今日のアメコミ映画は無かったでしょう。しかし、裏を返せば、そんな流れの原点に近いX-MENシリーズは、流行ったから続編を作る、また流行ったから更に続編を作る、と継ぎ足しながら製作している状態であり、ストーリーの整合性が弱く、MCUシリーズに比べて劣る点となってしまいます。
 そんなX-MENシリーズの魅力とは、「危険な能力を持ち、人類に迫害されるミュータントはいかに行動するべきか」を考えさせてくれる点です。温和な方法を取ることで、同時に危険な状況になりかねない行動をとるプロフェッサーXと、強行的だが、自分の仲間たちを守るために活動するマグニートー、カリスマ性のある二人の行動は、どちらも善悪では割り切れないものです。今回登場するアポカリプスも、予告編を観る限りでは、そういったキャラクターのようでした…
 が、実際に映画を観てみると、カリスマ性や信念といったものはあまり感じられず、現代の事情もよく分からないまま復活し、特殊能力をもって暴走している顔の青い人にしか見えず、それらしいことを言いながらやみくもに街を破壊しているだけのように映ってしまいます。
 アポカリプスを含む、とにかく簡単に人を殺してしまう人物が登場しますが、命の扱いがあまりに軽く、ちょっと引いてしまいます。
 そして、メインキャラ以外は原作コミックやアニメでは人気のキャラであるにも関わらず、登場してからあまり活躍もせず終わってしまうキャラが多いのが残念です。一応、活躍の時間を設けており、映像としてはよく出来たものに仕上がっているものの、それが「戦闘」シーンではなかったりするため、「その能力をそういうことに使うのは良いけど、でも映画としてはどうなの?」「この人、台詞がほとんど無いよね?」と感じてしまいます。
 ストーリーの端々において、「悪人が改心する」「過去を捨てて新たな人生を歩み始める」といった、「王道」をどこか少し外してしまっており、全体的に何か足りない感じがしてしまいます。

 しかし、世界に「アメコミ映画」というジャンルを認知させたX-MENシリーズの最新作であり、シリーズに一区切りをつけたという意味では、良かったのではないでしょうか。
 シリーズを通して、「危険で迫害される対象だったミュータント」が徐々に社会の信用を得ていき、悲惨な未来から、平和な世界に変わっていく、という流れは、通してみれば理解できると思います。
 世界をも滅ぼす兵器を開発し始めた80年代というのは、現代から見れば異常な時代です。「平和」のために常に「戦争」の用意をしているのはまさに「人類の堕落」であり、それを正そうとする考えも分からなくはないです。そういう意味では、アポカリプスは映画X-MENシリーズでも特に深みのあるキャラクターだと思います。
 旧三部作で若手ミュータントを率いていたプロフェッサーXとマグニートーがまだ若くて経験も浅く、時に自分の行動に悩んでいた彼らが、新たに出会った仲間と共に、新三部作で成長していった様子は、共感するものがありました。
「やらなければ、やられる」、しかし、「やられたらやり返す、では解決にならない」という二つの矛盾した事柄に対処するのは難しいことであり、双方共にメリット/デメリットがあります。学校や社会においても、人間関係や物事の進め方を巡って、誰かと対立してしまうことはありますが、X-MENシリーズおよびアメコミ映画を観ることで、そういった状況でどう対応するべきかを考えたり、そのような状況になった時に、より良い方法で対応できるようになれるかもしれません。

 社会や人間関係について、まるでキング牧師とマルコムXのように考えさせてくれる映画ですので、ぜひ鑑賞してみてほしいと思います。
 よろしくお願いします。


■余談
 思うのですが、通常の人間にはない特殊な能力を持ち、人類にとって危険な存在になりうるミュータントはどうするべきか、ということですが、彼らに足りないのは、柔道家の嘉納治五郎の言葉で言うところの、「精力善用」「自他共栄」に関する教育なのではないでしょうか。
 特殊な能力を争いに使うのではなく、他者にとって有益な用途に使うことを彼らは学ぶべきだと思います。
 例えば、ミュータントの方々は、ボランティア活動をするとか、講演会を開いて、社会の信用を得るための活動をすれば、もっと平和的な話になったのではないでしょうか。

まさに大災害!「シン・ゴジラ」
うぇいど
2016年08月18日 23:58
映画 ゴジラ 感想
 C90お疲れ様でした。
 参加者それぞれが、色々な本を売ったり買ったり、コスプレをしたり見たり、それぞれの思い出が作れたのではないでしょうか。
 うぇいどです。

 さて、話題の大ヒット映画「シン・ゴジラ」を観てきましたので、感想を書いてみたいと思います。

※原則、ネタバレはありませんが、詳細が気になる方はご遠慮ください。


■概要
 東京に謎の巨大生物「ゴジラ」が現れる。


■感想
 エヴァンゲリオンでお馴染み、庵野監督が、特撮ファンとしての力量を発揮したとのことと、その怒涛の内容で話題になっているシン・ゴジラですが、そんなに話題になっているならと、劇場に行って鑑賞してきました。その感想は…

「ゴジラが現れたら困るなー、と思いました。(小並感)」
です。

 まず、僕にとってゴジラは、デストロイア前後の、スペースゴジラやモスラ、メカゴジラと戦っていた頃のイメージが強く、巨大な着ぐるみ怪獣同士が、ビルを壊しながらプロレスをしている映画だと思っています。
(評価は低いようですが、エメリッヒ版のUSゴジラは好きでした。)
 巨大怪獣ゴジラに対して、巨大ロボットをもって立ち向かうという構図は、徐々に陳腐化していき、登場するライバル怪獣もワンパターン化してきたため、00年代のFINAL WARSをもって、日本のゴジラシリーズは締めくくられてしまいましたが、ある意味仕方なかったと思っています。
 僕の中で転機になったと思っているのは、13年に公開されたパシフィック・リムです。この映画では、巨大ロボの存在について、「巨大怪獣に立ち向かうためには、放射能汚染を起こす核ミサイルではなく、巨大ロボットをもって肉弾戦で戦うしかない」という形で説明を与えてくれました。この映画により、巨大怪獣に巨大ロボで立ち向かう、というのも多少、納得のいくものになったと思います。しかし、それでも他の映画が「巨大怪獣」や「巨大ロボ」というジャンルで追随しなかったのを見ると、やはり無理があったのだと思います。
 ゴジラに対しては、とりあえずそんなイメージを持っていましたが、シン・ゴジラが観客から大反響を呼んでいると聞いたことから、劇場に行って鑑賞してきました。

 まず、CG合成等の映像は、結構弱いと思いました。ハリウッドに比べると低予算の日本映画とは言え、16年の映画でこのCGではちょっとマズいだろ、という映像だったりします。
 また、前述の通り、僕にとってゴジラとは、巨大怪獣に対して別な巨大怪獣、または巨大ロボで立ち向かう映画だと思っていたので、「もし、現代にゴジラが現れたら、現実に存在する兵器で対処しなければいけない」というコンセプトは良いのですが、やはり、次々と成長して変化していくデストロイアや、攻撃兵器を満載したメカゴジラとの戦いに比べてしまうと、シン・ゴジラはどうしても映画的迫力に欠けてしまっている気がします。
 シン・ゴジラのキャラクターそのものも、これまでのゴジラが持つ、ビル街を焼き尽くし、人類を蹂躙する「凶暴な破壊獣」というイメージよりは、「未確認巨大生物」として描かれているという斬新さがあるのですが、それがかえってパニック映画としての緊迫感を減らしてしまっている気がします。
 こうしたことから、平成ゴジラやミレニアムシリーズを観てきた自分にとっては、それまでの印象から離れてしまい、「ゴジラ」としてのインパクトは少なかったような気がします。

 しかし、裏を返した見方をすれば、これまでのゴジラ像とは異なる、新しいゴジラ「シン・ゴジラ」を庵野監督が創り上げてくれたということです。
 冒頭等、一部の映像に難点はあるものの、デストロイアに登場したバーニング・ゴジラのようで、短編映画「巨神兵、東京に現れる」に登場する謎の巨神兵のような、凶悪で、それでかつ脆そうなシン・ゴジラのデザインは、現代の怪獣として、迫力あるものだったと思います。
 次に、これまでの怪獣映画は、「メカゴジラ」や「イェーガー」といった現実の技術では造れそうもないものを登場させ、リアリティを欠く代わりに映画としての面白さを持っていました。そうではなく、人類を圧倒的な力で押しのけていく巨大生物に対し、現代の自衛隊が所有する兵器のみで立ち向かおうとするストーリーは、映画の製作にあたり、防衛省や自衛隊と念密な打ち合わせをしたらしいだけあって、現実的でかつ絶望的であり、それでいて圧倒的な災害へ立ち向かう勇気を観客に与えてくれます。
 災害映画として描かれたシン・ゴジラのストーリー全般が、東日本大震災をはじめ、近年起きた災害時における各組織の対応をベースにしていることは容易に見て取れます。大災害が起きた時、保身のために被害を少なく見積もり、動かないことを選択する人、他人に責任を押し付ける人、押し付けられる人。行動を起こすべき時に後の批判を恐れて行動できない人、判断に迷って行動しないことを選択してしまう人。そして、人々を守るために睡眠も取らず、夜を徹して議論を交わし、行動を起こす人。先の災害でも、各組織、人の行動において、結果として良かったことと悪かったことがありますが、結果論だけで判断せず、その時の状況を踏まえた上で省みることが大切なのではないか、そんなことを考えさせてくれます。

 社会で生きていると、一見すると到底対応できないような物事に対して、対処しなければいけない必要性に迫られることがあります。
 そんな時、人はどんな気持ちなのか、どんな行動を取れば周囲はどう感じて、どんな結果が起こり得るか、そんな体験を擬似的に体験させてくれる映画ですので、ぜひ観てほしいと思いました。
 よろしくお願いします。

 あと、石原さとみさんは美人でした。

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